キッチンスプーン

『2016年7月』のアーカイブス
2016年7月28日 16:47

涼しさや 鐘をはなるる かねの声  与謝蕪村

朝。

眠りから覚めつつあると気がついたら、からだを横たえ目を閉じたまま

深くゆったりとした呼吸で耳を澄ませます。

世界が目を覚ます、新鮮なうねりを聞きます。

夜。

眠りに戻っていくとき。

目覚めと眠りのあいだをゆらぎはじめていると感じたら

おなじように、深い呼吸で暗闇に身を浸し耳を澄ませます。

2016年7月27日 20:31

ちよさんが山に来ました。

彼女は、松山でご主人と玄米菜食のお店をしています。

お店の名前は風味花伝。  

2日間の夏休みを、久万高原町で過ごしにやってきました。

両手いっぱいの荷物はぜんぶおみやげです。

まだあたたかい手作りのかぼちゃコロッケ 自家製トマトソース 

焼きたてパン 上等のオリーブオイル おいしいのり 

瀬戸内海の島のいちごあめ レモンの焼きメレンゲ

エプロンがちらり。 

翌日は、kitchen spoonで一緒に料理をするのです。 

もぎたてきゅうりをぱりぱりかじりながら、緑の山奥をドライブ。

杉林はほの暗く、苔むした岩肌は山水で濡れていました。

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2016年7月27日 20:14

夏休みです。

おもてで自転車のとまる音がしたな、と思ったら

汗びっしょりの直瀬っ子が3人、キッチンにわあっとやってきました。

いいにおい! ぼうしかしてください。 あ、ぼく、すももはいいです。

そうじ手伝います。 ちょっとーそのぼうしわたしも! うわっ、このすももにがい。 

こっちはあまいよ。 コーヒーのみたいなー。

あのひと、帰るんですか。 ありがとうございました。 また来てください。

わたしはあなたたちに、いらっしゃいという間もない。

カテゴリ:お店について
2016年7月23日 15:20

草ぼうぼう。

こんなにうつくしいものが他にあるでしょうか。

おおらかで、くつろいでいて、しずかで。

軍手をはめ、草刈り機のエンジンをかけます。

畑を借りました。

よもぎ どくだみ つゆくさ すぎな あかざ ふき のかんぞう

子どものころ、草の中であそぶのが好きでした。

なぎはらう、なぎはらう。 ふみしめる。ふみしめる。

生きとし生けるもの。

2016年7月22日 20:16

パスタがおいしいって聞いたんです。

旅の途中に立ち寄ったという女性。

あるもので何とかこしらえてみましょうと言ってはみたものの

パスタ生地用の地粉がもうない。 わかっています。

今日のメニューを、こきびと玄米のリゾットにしたのはそのためでしたから。

今ここにあるのは、自然農の全粒粉 地とうきび粉 ごくわずかな地粉 

それに、地鶏のたまご 塩 太白ごま油

へー。 今から作るんですか。

お連れの男性と仲良く肩をならべて、カウンター越しにのぞきこんでいます。  

はい。 そんなにむつかしくはないんです。

えー。 そうなんですか。 

はい。 ただ、おいしいかどうかは、できてみないとわかりません。

あははははと3人で笑いあって

あとはもう夢中。

既知より未知が、わたしはすき。

カテゴリ:お店について
2016年7月20日 18:53

完熟トマトを皮ごと煮込み、すりつぶす。

その一部を別のなべにとり、さらにぐっと煮詰める。

小ぶりなトマトを半分に切り、フライパンで焼き目をつける。

酸味のきいたプチトマトをうすくスライスする。

ごく少量の黒こしょうとハーブ・オイルで仕上げ。

塩はしない。

トマトの味だけで十分。

きっぱり夏のスープ。

カテゴリ:旬のメニュー
2016年7月15日 21:02

ある日。

ご予約は、大学で英語を教えている年上の友人、おひとりでした。

ふたりっきりでしたから、会話は英語でとお願いしました。

わたしの英語は中学校でとまっています。

不思議です。

わたしは、いつもなら、日本語なら、ぜったいにしない話ばかりはじめていました。

つぎつぎに。 まるで今日が人生最後の日だとでもいうように。

なぜだかはわかりません。 でもほんとうにたのしかった。

命を使って、見つめ、聞いて、話す。

話すことが生きることになっていた、3時間。

カテゴリ:お店について
2016年7月14日 15:32

久万美術館で、名画キャラ弁ワークショップがありました。

思いついたのは学芸員のゆりさん。

彼女は久万高原町のメーテルと呼ばれているひとです。

ね、ゆりさん。

はい。はい。

あなたはいつも黒い服ですね。 あるときそうたずねたら、

ええ。ええ。 絵に対して、わたしはつねに黒子ですから。

黒髪がさらり。 瞳がきらり。

ひかえめで落ち着いた振る舞いからは、距離は知性という言葉が思い出されます。

そんな彼女ですが、その発想の思いきりの良さがふるってます。

姫野さん。  はい。

久万美術館のたいせつな絵、村山隗多の<裸婦>でキャラ弁を作る会をしたいんです。

手伝ってもらえませんか。

たっぷり3秒見つめあったあと、返事をすることも説明することもおいといて

わたしたちは笑いに笑いました。

2016年7月13日 17:02

かなしい恋、してるんですか。

ほかのお客さまがいなくなって、コーヒーをお持ちしたとき

つい、そんなふうに声をかけました。

乱暴者め。 と自分にあきれ果て目をおおうわたしに

思い詰めてるひとを見過ごすの。 と言い返すわたし。

2016年7月10日 17:31

母が服を縫ってくれます。

得意ではないそうです。 好きなんだそうです。

木綿のシャツ 紺色のスカート ヨガ用のズボン キャンパス地のバック 下着まで。

わたしのからだとにらめっこで、いっしょうけんめい作ってくれます。

じゃんじゃかじゃんじゃか、作ってくれます。

もうすっかりおとなになったわが子に、

手製の子供服をせっせとこしらえているのです。

もとは買ってきてくれていました。

でもわたしは着なかった。

気に入らなかったんじゃないんです。 

これ返すね。 だいじょうぶ。返品できるよ。 自分の買っておいで。

母は布を買ってくるようになりました。

2016年7月10日 17:23

kitchen spoon の料理教室 3期生を募集します。

教室を持つのはこれで最後というのが、今の気持ちです。

ご希望の方はメールにてお問い合わせください。

初回 9月4日 日曜日

場所 kitchen spoon   時間 10:00~14:00

参加費 3500円

定員 8名

カテゴリ:お知らせ
2016年7月 8日 14:16

春の終わりから梅雨にかけて読んだ本のすべてが

20歳のころに買って、最後までは読み切れず

本棚でねかせていたものばかりだったと、今、気がつきました。

草の竪琴 トルーマン・カーポティー  至福。

伊豆の踊子 川端康成  一生読める。

あ・うん 向田邦子  痛快。

潮騒 三島由紀夫  まぶしい。

社交ダンスが終わった夜に レイ・ブラッドベリ  一生読める。

本はいいなあ。

2016年7月 7日 17:45

ささのは さらさら。

いつ見ても星空はいいですね。

直瀬で星空をながめていると、星が降ってくるというよりも

空を見ているひとのほうが星のなかへ落ちていくような感じがします。

ひかりは見上げるものだと、思っていました。

けれど、わたしたちの足元の土のずーっと奥深く。

地球のまんなかは、つよくひかっているという説があるそうです。

かつてご来店された、研究者の女性が教えてくれました。

みなさんの願いごとが、かなうといいです。

2016年7月 5日 06:08

日曜日のお昼。

精進ちらしずしを作って、友をまちます。

高野豆腐 干しタケノコ 切り干し大根 

干ししいたけ 炒り青大豆 地ゴボウ 久万のにんじん 

地元のたくあん しそ えごまの実 錦糸卵

それぞれおいしく味付けをしてから、玄米のすし飯にまぜ

ふんわりおふきんをかけ、しばらくおきます。

彼は整体のひとですから

からだに違和感のない食事のしたくをこころがけます。

山のお茶がおいしく入りました。

緑の里山に、バイクの音はまだ聞こえてきません。

さて。 再会まであと何キロ。

2016年7月 5日 05:35

家族がよろこぶものしか見えません。

木いちごのマカロン3つ。 

手つくりキムチをひとつつみ。

梅のはちみつ漬け10粒。

ブラックベリー すいか とうもろこし つるむらさき

じゃこてん5枚

ずっしり重い木の実パン

栗色クロワッサン

2016年7月 5日 05:10

あじさいが咲きました。

里山中、いっせいに。

店の花は薄紅色。 植木屋さんがえらんでくれました。

ふっくらのびのび、おおきな花束のようです。

自宅の庭のあじさいは空色。 父と母が植えました。

こちらも一度も刈り込まれたことがありません。

うっとりと咲いています。

このあじさいみたいに、あなたでいてください。

ほかの何かになろうとしないで。

ほかの何かにならなくちゃいけないなんて、そんなのうそっぱち。

耳をかさないで。

もうすでにうつくしい、あなた自身でいてください。

2016年7月 2日 20:05

子どもたちの遠足が雨で二回のびました。

しかたがない。 おべんとうとおかしをリュックにつめて登校です。

行き先は、まあ、学校なわけです。

店から学校にお電話しました。

先生、子どもたちとあそびに来てください。 

一緒にクッキーを焼きましょう。 

それをね、おべんとうを作ってくれたおうちのひとにおみやげする、

というのはどうですか。

えええ。 えーっと。

はい。

来てくれました。

子どもたち全員で豆をごりごりひいて、先生にコーヒーもいれました。

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