キッチンスプーン

2017年6月 2日 15:47
女のひとふたりが、仕事や暮らしの不満をじゅんばんに延々と述べているのを背中で聞きながら

我が身をふりかえっていました。

ぼんやりと。

わたしは今、好きな仕事で好きなごはんを食べています。

不満はないです。

でも、かつてはこんなにきっぱり言い切れませんでした。

それどころか、料理がいやになって全力で逃げたこともありまして。

はい。

情けない気分でした。

畑に置いてけぼりにされて、しおれていくなすみたいに。

そんなときは仕事だけではなくって、暮らしも愛情生活もずたずたでした。

おなじ人間です。

おなじようなことをしています。

今となにが違うんでしょう。

ふっくらとやわらかいかっこうの声がやまびこしています。

よくわかりません。

ただ、ああもうやってられないと、ひとりつぶやくような苦しいときに

でも、これはもうまるごとぜんぶ自分の責任なんだと

多少やけっぱち気味でも言い切れるようになってから

なにかが変わりはじめた気がします。