キッチンスプーン

『2017年9月』のアーカイブス
2017年9月29日 20:42

人の顔を覚えるのがそれほど得意ではありません。
どんなに親しく笑いあっても、たくさん語り合っても。
ころりと忘れてしまうのです。
わたしは、その瞬間にしかそこにいないようなところがあります。
それでいいと思っています。
27年ぶりに大好きだった先輩に再会しました。
わたしが中学校1年生のとき3年生だった人で、吹奏楽部で同じ楽器でした。
手を取り合って再会をよろこびました。
うれしかった。
うれしかったから
次お目にかかったとき、お顔を覚えていたいなあ。

カテゴリ:お店について
2017年9月28日 16:12

ひんやり冷たい風に、金木犀と稲のかおりがまじります。
山は秋。
皿の上も秋。
春夏と秋冬のメニューはバランスが変わります。
山の恵みサラダがちいさくなって、グラタンがおおきくなります。
・紅絞り豆とじゃがいものほっこりスープ
・久万高原町9月28日のコンビネーションサラダ
・自家製野菜ドレッシング
・ひとくちキッシュとブルスケッタ
・秋野菜と玄米のごちそうライスグラタン
・ブルーベリークッキーと山の果物
・キッチンスプーン9月コーヒー
おひとりさま 3000円

カテゴリ:旬のメニュー
2017年9月26日 20:22

むかご。さつまいも。さといも。かぼちゃ。
だいこん。落花生。あけび。りんご。ぶどう。
山は秋です。
店の金木犀が満開になりました。
橙色の小花の群れ。
胸いっぱい吸い込むのをためらうほど、つよく香ります。
今夜はいい月。
罪と罰は、ドストエフスキーの長編小説。
この本、何度も手に取りましたが毎回途中で投げ出しています。
こんな難しい本を、スナック片手に読める高浜虚子は
ほんとうにすごい。

2017年9月24日 17:47

「こんな店二度と来るか。」
お酒のあと。
見送るわたしに投げられた、上機嫌の友のきつい冗談。
声に酔いと笑いがにじんでいて、おちょくられているだけと分かるのに。
彼のお仲間がそばにいて、今ここで崩れては今夜の余韻を台無しにすると
なにもかも分かっているのに。
あっさり泣いてしまいました。
馬鹿正直に。
はい。
もうね、店主失格です。
翌日。
謝りに来た彼の前で、ひとりワインを立て続けに3杯飲んで
ふらっふらになりました。
めったにお酒はいただきませんから、酔いました。
わたしが酔っているくらいの方が彼は気楽だろうと思ったからです。
許しを請うのはわたしのほう。

カテゴリ:お店について
2017年9月19日 13:27

8月12日 くもり
4時半  朝の音に耳を澄ます。体はまだ眠っている。ゆるりと二度寝。
    菜々子が抱きついてきた。しくしく泣いている。
    頭をなでながら訳をたずねると、細い声で帰りたくないと言う。ふう
    ん。そうか。フランス気に入った?うん。あら。いいね。でもなんだ
    か日本がかわいそうだねえ、と笑うと、菜々子もつられてすこし笑っ
    た。熱いグリーンミントティーをゆっくり飲む。
8時   ホテルで朝食。同じツアーの人たちがかわるがわるやってきて、昨日
    の解散の後の話を聞かせてくれる。楽しかった人。くたびれた人。色々
    だ。誰もがいきいきと話す。人生は冒険です。
9時  メトロに乗ってノートルダムへ。
    今日は1日自由行動の日。菜々子とたみ子さんに地図を渡し、道案内を頼
    む。あーでもないこーでもないと小競り合いを繰り返しながらも、二人は
    力を合わせ、未知の街をぐいぐいと進む。助けを求められるまで口出しは
    しないことにして、勇ましい二人の後をゆったり歩く。カフェで熱いコー
    ヒーを飲み、緑豊かな植木市や土産物屋を見て回る。さあもうすぐでノー
    トルダム、というところで警察が道を封鎖しているのが見えた。むむむ。
    何があったのかは誰に聞いてもよく分からないが、とにかくノートルダム
    周辺には今は入れない。たみ子さんがピッツァが食べたいと言う。ほお。
    ピッツェリア。あった。目の前に。
昼食  オニオングラタンスープ ニース風サラダ ピッツァ・マルゲリータ。
    食後、封鎖が解除された道を歩きノートルダムへ。一気に押し寄せた人の
    多さと列の長さにあっけにとられ、庭のベンチに腰掛け建物を見上げる。
    ここから礼拝。さ、行こうか。気分よく立ちあがると、菜々子がびっくり
    した声で、ええええお母さんいいのそれで。ここ来たかったんでしょ。も
    ういいのと言う。ああ。はい。ありがとう。充分です。3回目だしね。
    遊覧船に乗る。バトームシューという船。道行く人や橋の上の子どもが、
    あかるい笑顔で手を振ってくれる。いくつもの橋をくぐり、風に吹かれて
    ぼんやり。菜々子は居眠りしている。オペラで買い物をしてホテルへ戻る。
    菜々子のお買いもの・・色違いの夏用ブラウス2枚 ピンクの石付きブレス
    レット 色違いで白の石付きネックレス。 
夕食  トマトとグリーンサラダ コールスローサラダ オリ-ブとトマトのパイ
    バゲット フランボワーズ マカロン、ショコラ  
    食後、テレビをつける。菜々子が見入っている。先に入浴し、湯船で本を
    読み、戻るとまだ見ている。おもしろいと言う。かつてフランスで一緒に
    働いていた人のなかには、今このときに流れている同じ番組を見ている人
    もいるかもしれないな。みんなどうしているんだろう。店は閉店していた。
  
    
    

    

 

2017年9月19日 09:01

10月7日土曜日 3期生 10時から14時 参加費3500円
  お家にある紅茶を持ってきてください。 
  ・からだをあたためる食べもの
  ・「食の一句」に学ぶ 秋の食べものにまつわる俳句
  ・本日開店 アフタヌーンティーサロン
   ベーシックなサンドイッチ2種類
   地粉のスコーン
   カップケーキ・・バター生地とオイル生地
   そば粉のクレープ
   豆乳のミルクプリン
   おいしい紅茶
10月8日日曜日 1期生 ヨガピクニック 10時半から14時
  参加費・・ヨガ1500円 
       ランチ(行楽弁当・おやつ・コーヒー)1500円
  場所・・久万高原町畑野川 千本高原
10月22日日曜日 2期生 16時から20時 参加費3500円
  ・からだをあたためる食べもの
  ・「食の一句」に学ぶ 秋の食べものにまつわる俳句
  ・本日開店 洋食屋 匙
   レシピ紹介とおさらい 3種類の基本ソース
   (トマトソース・ホワイトソース・マヨネーズ)
   秋の山の恵みサラダ
   クリームコロッケとミートボール
   玄米のハーブバターライス
ご興味のある方、この機会にぜひご一緒しませんか。
どの教室にもすこし空きがあります。
お気軽にお問い合わせください。
秋の里山で、あなたのご参加をお待ちしています。
    
  
   
   

カテゴリ:お知らせ
2017年9月16日 23:23

今朝、山で果樹園をされている方からお電話がありました。
傷もののりんごを分けてくださるとのこと。
おおよろこびお伺いしました。
りんごあれこれ。
こんなにどっさりほんとにいいんでしょうか。
摘みたてブルーベリー。
ついつい手が伸びます。
赤いすもも。
ひとくちかじったら、丸ごと1個食べ終わるまでなにも聞こえていません。


2017年9月14日 07:58

8月11日 くもり。街路樹の木の葉が色付いている。こちらは秋が早い。
4時半  起床。ヨガ45分。白湯を飲みゆっくりする。
7時半  ホテルで朝食。パンの種類が豊富でうれしい。ひときれずつ試す。
     クロワッサン パンオレザン ショソンポンム パヴェ パンド
     カンパーニュ バゲット チーズ(コンテ・カマンベール)ハム
     3種 スモークサーモンサラダ コーヒー。
     食後部屋でのんびりしていると、隣部屋からたみ子さんがやって来る。
     目が泳いでいる。白い顔でちんぷんかんぷんな助言をどんどん始めるので
     よくよく話を聞いてみる。碇さんから注意があった、ジプシーが怖いのだ。
     トンカチなこと言って。いろんなひとがいる。私たちとおんなじに。
9時  バス観光。    
    エッフェル塔、ノートルダム寺院、凱旋門、コンコルド広場。バスに乗り、
    説明を聞きながら見上げる。ルーブル美術館へ。ものすごい人出。静寂は
    どこにもない。あらゆる国籍の人たちとあらゆる言語が入りまじる。まる
    で具だくさんなスープの鍋に間違って落っこちたみたいだ。のぼせてきた。
    20年前、朝一番にひとりで来たルーブルで、ミロのビーナスと母さんは二
    人っきりだったんだよ、と菜々子に言う。 へっ。そうなの。 うん。
    でもまあこれはこれで。
    ベルサイユ宮殿のあと、免税店へ。申し訳ないほど興味がない。仕方なく
    街路樹の下にあるベンチに座り、他の人たちのお買いもののようすをなが
    める。皆さん、買いたいものが買えていますか。菜々子は拾った枝で砂に
    絵を描く。目の前の、古く品のいいアパルトマンをみあげると、ふたりの
    老婦人が肩を並べ、窓辺の花の世話をしているのが見えた。
12時  ビストロで昼食。
    ミネストローネスープ バゲットスライス ローストチキン・白ワインと
    生クリームのソース フライドポテト りんごのタルト。
15時  オペラ座で解散。ここからは自由行動。ツアーの皆さんに簡単な挨拶をし
    て、にこにこ手を振ってわかれる。12歳と62歳の家族を伴って異国の街を
    歩くたのしさ。たみ子さんも菜々子も花の都をのしのし歩く。のどが渇い
    たと言うのでカフェに入る。菜々子はオランジーナ、たみ子さんはエビア
    ン、わたしはコーヒーをとる。地図をひらき、今いる場所はここ。行きた
    いところはある?と聞くと、たみ子さんは百貨店、菜々子はマカロン屋が
    いいと言う。ちょうどいい。ギャラリー・ラファイエット・デパートがす
    ぐそこだ。
    1階にあったのは、お菓子とお総菜。
    マカロン。チョコレート。ケーキ。アイスクリーム。パン。キッシュ。
    パイ。ローストビーフ。サラダ。パテ。チーズ。中華料理。アフリカ菓子。
    ギリシャ風の総菜。スパイス。カフェやイートインもある。たくさんの菓
    子店のマカロンの中から、菜々子がここ、と選んだのはラデュレ。フラン
    ボワーズ、バニラ、チョコレート、ピスタチオ、レモンをひとつずつ。自
    分のちいさいお財布から支払いをしてつつみを受け取り、笑顔の店員さん
    にメルシー、とほほえみを返す菜々子。うれしそう。
    地下は生鮮食品と加工品。
    ちいさなマルシェがある。トマト。ベリー。りんご。ぶどう。オレンジ。
    チーズ屋。肉屋。魚屋。マスタード。オイル。瓶詰め。サラミ。オリーブ。
    日用菓子もある。ああたのしい。たみ子さんはお土産選びに熱中だ。夕食
    は部屋で食べたいと言うので、中華料理の惣菜の量り売りコーナーで、ふた
    りが指さすあれこれを少しずつ包んでもらう。タクシーでホテルへ。
18時  部屋に戻ると、菜々子がちいさく声を上げて拍手している。ベットの上の枕
    をぽん、とたたいて、お母さん、なくなってる。と声をはずませる。今朝、
    枕元にチップの小銭と、菜々子が書いたメッセージとイラスト、日本から持
    ってきたあめをひとつ置いて出た。それが全部なくなっていると言って目を
    輝かせる。こびとの靴屋みたいに思うのだろう。子どもと旅するっていいな。
    よほどうれしかったらしく、思い出すたび何度も何度も話してくれる。
19時  ホテルの部屋で夕食・・赤と黄色のプチトマト みかん2個 かご入りのいち
    ごと野いちご チャーハン 焼きそば 焼き餃子 揚げ春巻き。慣れた味にほ
    っとしたのだろう。たみ子さんは上機嫌。菜々子はマカロンひとつぶを目を細
    めて味わう。ゆっくり入浴。洗濯。読書。
22時  就寝。
    
    
    
    
    
    

    
    

2017年9月12日 20:33

本日5周年を迎えました。
満天の星に虫の声。
しあわせな5年間です。
店で家族とささやかなお祝いをしました。
今日も明日もあさっても、一心につとめます。
山が恋しくなったらどうぞ訪ねてきてください。
あなたのお越しを、ここでお待ちしています。
深い感謝を込めて。
kitchen spoon 店主 姫野晶子


カテゴリ:お店について
2017年9月 9日 05:21

8月10日(木) くもり時々晴れ
4時  起床。床にシーツを敷き、ヨガ1時間。窓の外に白い月。満月が近い。
    妙にもろいところもあるが、意外と粘りがきくわたしのからだ。毎日
    面倒をみる。巡りがよくなり、しっとり汗をかく。
    朝食・・あつい紅茶 バゲットスライス クランベリー入りのパン 
    コンテチーズ カフェオレ。 菜々子もたみ子さんもよく食べている。
8時  朝の霧の中、田舎町にあるワインのテイスティング会場へ向かう。現地
    の日本人女性2人がワインの説明をしてくれる。ひとりは朗らかであか
    るい。もうひとりは、母国が同じでも日本人観光客という集団が好きで
    はないのだろう。冷えた目をして淡々と接客している。たみ子さんがこ
    ちらに身を乗り出し、どれがいちばん好き?と聞くので、ロゼダンジュ
    と答えると、勢いこんでカウンターへ行き3本も買ってくれた。
9時  古城をめぐる。シュノンソー城へ。広い庭と森がうつくしい。農園も。
    贅の限りを尽くした、緊張感のある部屋がいくつも続く。菜々子は池に
    鴨を見つけてはしゃいでいる。買い物・・イチジクとバニラのシロップ
    漬けを干したもの2袋、この森で暮らすロバのミルク石鹸3個。シャンボ
    ール城、アンボワーズ城を見たあとビストロで昼食。地元に人気の料理
    店なのだろう。客と店の距離感がちかい。誰もがくつろいでいろようす
    がすごくいい。キッシュロレーヌ たらのソテーのクリームソース バ
    ゲット レモンのババロワ。(もれなく甘い。望むところです。)
    バスでシャルトル大聖堂へ向かう。
14時  大聖堂を見上げる。ほれぼれと。1時間ぐらいここに座っていたい。入
    り口近くに巡礼者がたっている。ホタテ貝の殻を両手で持ち、皆から小
    銭を入れてもらっている。托鉢碗と同じだ。入口のイエスの彫刻がブッ
    ダに見える、と菜々子が声をはずませる。ええ。驚きながらも間違いを
    正さず、あいまいに黙ったままでいると、わたしの左手に握っていた菜
    々子のデジタルカメラが、手の中からゆっくりはなれ落ち、石畳の上で
    かつんと乾いた音を立てた。びっくりして拾い上げる。レンズが壊れて
    いる。あああ。ごめん。菜々子が、わたしの顔をまじまじと見ている。
    日本に帰ったら直そう。ごめん。ほんとうに。  うん。いいよ。
    このときわたしには、自分の声がまるで、はるか遠くで鳴る鐘の音のよ
    うにふたしかに重なって聞こえていた。
    今のは。今のはなに。
    落としたのではない。わたしの手の中にあったのは、花びらか木の葉だ
    ったのだろうか。それくらいなんの感覚も感触もない一瞬のうちに、こ
    の手から、ゆっくりと、白い羽根が1枚ふわりと落ちていくのが見えた。
    これは。
    叱られたということ。
    なな、あの彫刻はイエスだよ。
    わたしたちは空を見上げ沈黙し、聖堂に入った。
    祈る婦人がいる。ひざまずき石柱に唇をつける老父がいる。涙ぐむひと。
    座り続けるひと。親と子ども。パイプオルガンが低くおおきく鳴り響く。
    深いくつろぎの中でしずかに座る。聖堂から出て振りかえり、もう一度
    空を仰ぐ。わたしも悔い改める。わたしも一心に許しをこう。やがて、
    みっしりと空を覆っていた灰色雲がおおきく流れさり、教会の真上に
    真青な空が現れた。さまざまなハーブかしげる庭が淡くひかっている。
    バスでパリに向かう。
18時  ノートルダムの見えるカフェで夕食・・グリーンサラダ バゲット 牛
    肉の赤ワイン煮とバター味のパスタ ショコラショ(焼きたてのチョコ
    レートケーキ)ツアーガイドの碇さんの表情が、パリに来て一気にくつ
    ろぐ。テロが起こったときもパリにいたそうで、そのときの話をしてく
    れた。おおきな混乱はすぐに鎮まり、翌日には花屋もパン屋もカフェも
    店を開け人々は淡々としていたそうだ。大騒ぎするのはやめてほしいと
    いう考えのひともいて、自分もそうだったという。菜々子はショコラシ
    ョをひとくち食べ、ぶるっと震えたままひっそりとスプーンを置いた。
    しびれるように甘くてきっちり苦い。バスでホテルへ向かう。有名な建
    物が見えるたびに、バスが揺れるような盛り上がり。菜々子は控えめに
    拍手。たみ子さんは涙ぐむ。よろこぶふたりを見るたびに、気持ちがほ
    こほこする。
20時  ホテル着。並木道の緑のなかのホテル。清潔で快適すぎて、日本にいる
    ような気分。菜々子は、一番最初に泊まった部屋が好きだったという。
    外国らしくてよかったのだそう。


    

2017年9月 7日 20:12

8月9日(水) くもり 秋の空気。
6時半  起床。テラスへ出る。正面に朝日を受けたモン・サン・ミッシェル。
    ホテルの芝生と畑との境目に、野うさぎが2羽。灰色でしっぽがくるんと
    白い。起きてきた菜々子をそーっとテラスに呼び寄せる。日がのぼる。
    朝食・・バゲットスライス けしの実とごまのカンパーニュ 発酵バター
    ハム3種 ポテトのハーブソテー チーズ(コンテ・ブリー)カフェオレ。
    パンとバターで天に召される。どれもぜんぶおいしい。ここの朝食は地元
    の味がする。パンもチーズもミルクもハムも。ひとくちひとくちかみしめ
    る。はちみつやジャムとならんで見慣れない瓶詰めがある。同じツアーの
    ひとが、これはなんでしょうねと首をのばす。ラベルを読もうと顔を上げ
    ると地元のマダムと目が合う。あの、と声をかけてたずねる。張りのある
    声でキャラメル味のりんご入りチョコクリームですよと教えてくれる。同
    じツアーの別のひとがやって来て、わたしこれ好きでしたと言う。そう伝
    えると、マダムは口元だけをきゅっとしかめ、そう。ほんとのこというと
    わたしこれ苦手なの。と手をひらひらさせている。
9時  モン・サン・ミッシェルへ。
    パーカーをはおる。菜々子は薄型の白いダウンジャケット、たみ子さん
    は青いウインドブレーカー。この寒さ予想外。直瀬の10月のはじめく
    らいだ。ノルマンディーに入ってから、あちこちでりんご実が鈴なりに
    なっているのを見た。納得。
    門をくぐる。古い石積み 赤いばら 苔むした屋根 お墓の十字 門前町
    石畳の狭い坂道 簡素な服装の若いシスター つめたい石柱 木の天井 
    塔のてっぺんで金色に輝くミカエル像 灰色の海 森 逃げないかもめ。
    フランス人の神への愛がひしひしと伝わる。
    朝のうちは人出が少なく昼にどっとふえた。「直瀬100年分」と菜々子。
12時  昼食・・塩味のオムレツ(この地の名物料理。オムレツというよりも、直
    火で荒削りに仕上げたバター風味の素朴なスフレという感じ。)ロースト
    チキン 山盛りのフライドポテト パン
    ファーブルトン(赤ワイン煮のプラム入り堅焼きプリン。ひとさじでふうっ
    と気が遠くなるほど甘い。はちみつをそのまま食べているくらい。フランス
    人は、甘さを控えるなんてこれっぽちも良いと思わないのかもしれない。)
    ツアーガイドの碇さんは、この仕事をはじめて20年。
    多いときは月に二回、10日間の海外ツアーガイドを務めているという。
    彼女の雰囲気がどこか日本人離れしているのはそのためだろうか。日本人は
    ほんとうにモン・サン・ミッシェルが好きなんですよ。なぜでしょうねと、
    柔らかくわらいながら低い声でつぶやく。
    少し離れたところにいるたみ子さんが、感動で涙ぐんでいる。
    さあ。なぜですかね。
    2回目のモン・サン・ミッシェル。はるばる来たかいがありました。
    はじめて参加したツアー。
    楽ちんでたいへん。これにつきる。
    手配はすべておまかせ。自由はすくない。少々きゅうくつ。安心して観光
    に専念できる。じっくり立ち止まることはできない。ガイドさんの知識を
    シャワーのように浴びるたのしさ。でも、必死になって何かを感じ取ろうと
    汗をかく機会はほとんどない。しかしツアーも良い。一緒に旅する人たちと
    だんだん打ち解けてくるのがなにより気に入った。奈良から来た70代くらい
    の女性は、30人いるこのツアーの最高齢にもかかわらず、みんなと足並みを
    そろえ城を登り肉を食べ群集の中でもけろりと明るい。ご立派です。
    バスでロワールへ移動。
    急いでいるのだな。すさまじいスピードでバスは走りに走る。ブレーキとカー
    ブがめっぽう強くて、体がぽんと持っていかれたりする。
    地平線まで伸びるとうもろこし畑、にんじん畑、ひまわり畑、収穫後の畑。
    たみ子さんが、夕食をキャンセルしたいと言う。胃の調子に不安があるようだ。
    菜々子もそうすると言う。途中立ち寄ったサービスエリアで、食べ慣れた味に
    近いものをさがす。なかなかない。キットカット発見。
18時  ホテル着。のびのびと洗濯。良い気分。
    いざというときのためのカップヌードルを作り、熱いうちにふたりにすすめ
    る。たみ子さんが一気に元気を出す。体調が悪いのではない。ただもうひどく
    くたびれて、気楽になりたかったのかな、と思う。家ににいるときとおんなじ
    に、ゆっくりお風呂に入るといい。菜々子、読書しながら1時間入浴。
22時  就寝。
    
    

    

2017年9月 7日 15:54

「マダムはね、わがままなんです。 世界中どこに行っても。」
お帰りの際。
最初から最後までやりたい放題だったお客さまにひとこと。
言いたいことは言いますよ。
のびのびと。
思ったときに思ったことを本人に。
マダムたちは一瞬目を見開き、さざめくような笑いとともに
外国製のうつくしい車でお帰りになりました。

カテゴリ:お店について
2017年9月 5日 17:12

8月8日(火) うす曇り 肌寒い。
3時半 起床。よく寝た。真っ暗だ。菜々子はまだぐっすり眠っている。
    ベットからそっと身を起こし、枕元の灯りをつける。空に月。ほそく
    窓を開け街の音を聞く。音を立てないようしずかに起き出し、荷物整理、
    書き物、身繕いなどをしてのんびり過ごす。5時、菜々子が目を覚ます。
    くつろいだいい顔つきでゆるりと起き上がる。外の暗さにたまげている。
7時半 朝食・・クロワッサン 食パン いちごジャム フルーツポンチ 
    コーンフレークにミルク ハムサラダ ポテトにケチャップ(菜々子)
    クロワッサン バゲット バター ヨーグルト 熱いコーヒー(晶子)
    ツアーの人たちと短い挨拶をかわす。みなさんよく寝れましたか。
    バスでジヴェルニーへ出発。
10時  モネの庭へ。牧羊地が近い。空気が甘い。世界中からありとあらゆる草木花が
    集まっている。ひまわり ばら セイジ ラベンダー 時計草 ゼラニウム 
    ゆり ヘリオトロープ 牡丹 エキナセア マリーゴールド 柳 竹林 睡蓮
    画家が愛したしずかな庭をしずかに歩く。雨の中、写生している親子がいた。
    菜々子とふたりで、モネの家と水の庭をまわりもどると、たみ子さんが売店から
    顔を出しこっちだよと手招きしている。買い物・・りんご入りキャラメル2袋
    池の庭の写真のはがき20枚 駐車場の並木道で石を拾う。菜々子に渡す。
    バスでルーアンへ出発。
12時  ルーアン市内のビストロで昼食・・野菜のポタージュスープ 鴨のロースト 
    パン マッシュポテト ウフ・アラ・ネージュ(ひっくり返るような甘さ)
    古く、活気があり、人々の顔があかるい。ルーアン在住の日本人女性の案内で
    歩く。説明がたいへん丁寧でわかりやすい。彼女は、ご縁があって暮らし始めた
    この街に、やがてつよい魅力を感じはじめ、今では大量の本に囲まれて暮らして
    います、とにっこり笑う。行く先々に知人がいるようで親しみのこもった挨拶を
    かわしている。菜々子は古い看板の上のすずめや、ボールを追う犬を見つけては
    目を輝かせる。ノートルダム寺院へ。こころと体がしーんとする。しみこむ、
    美。ジャンヌ・ダルクが火刑を受けたという場所に、聖女を悼む高い塔がたって
    いた。その塔の目の前でマルシェが賑わう。何というか、人間は底抜けにたくま
    しい。バスでモン・サン・ミッシェルへ出発。途中立ち寄った商店で買い物・・
    かご入りミニトマト、オーガニックのりんご。小ぶりで握るときゅうっと固い。
18時  目に入るのは、草色の地平線とひかる水平線と透明な空だけ。そこに唐突に現れ
    るモン・サン・ミッシェル。ここまでの道のりが一気にふきとぶ。大天使ミカエ
    ルの3度のお告げに従ってつくられたというこの修道院は、シルエットだけでも、
    こう、浮き世離れっぷりがすごい。20年ぶりに来た。うれしい。一心に見る。
20時  ホテルで夕食・・スモークサーモンとサラダ パン サーモンのグリルと温野
    菜のクリームソース(食べきれない)りんごのタルト(たいへんおいしい)
    部屋に戻り、あつい紅茶をゆっくり飲む。テーブルの上にノルマンディー銘菓
    真っ赤な小袋入りのバタークッキーがたくさんたくさん用意されていた。
22時  夜のモン・サン・ミッシェルに行きたいと菜々子。それは見事にライトアップ
    されているようだ。充分に厚着をして外へ。潮風に目を細めながらシャトルバ
    スを待つ。と、お通じの気配。同じツアーの人たちに菜々子を頼み部屋に戻る。
    たみ子さんが風呂上がりの肌からほかほか湯気を立てている。一時間ほどして
    大満足の様子で帰ってきた菜々子の話を聞きながら、ふたりで入浴、洗濯。
24時  気絶するように就寝。 
   


    

2017年9月 4日 07:59

8月7日月曜日 くもり 次第につよい風
5時   起床。ベットの上でヨガ45分。
    ニュースで天気を確認すると警報が出ている。おお。飛ぶか飛行機。
    空は灰色でほのあかるく風もさほどつよくない。
    ホテル内で朝食・・玄米ごはん ねぎとあげのみそ汁 焼き塩さば
    大根おろし つけもの 佃煮 梅ぼし 海苔 お茶 
7時半  関西国際空港着。
    発着便を確認。欠航もそこそこある。
    07AUG(MON)1030 OSAKA-KANSAI(1) AIR FRANCE  
     わたしたちの飛行機は飛ぶのだ。この台風をものともせず。
    おおきくひと息つき、目を閉じる。よかったねえと家族を振り返ると、
    そんなのあったりまえですといいたげな顔が大小ふたつならんでいる。
    今回は日本旅行のツアーに参加する。わたしと菜々子はツアーははじめて。
    集合場所、第1ターミナルビル4階団体受付カウンターへ向かう。
10時半  関西国際空港発。
    前の方の席に盲導犬を連れたひとがいる。犬は主人の足もとにしずかにいて、
    つやのある栗色の毛をときどき客室乗務員になでてもらっている。
    機内で昼食・・チーズとプレーンのクラッカー きゅうりとレタスのサラダ 
    かぼちゃサラダ ドレッシング 牛肉と野菜の煮込みとサフランライス 
    カマンベールチーズひときれ バター 塩こしょう カップ入りの水 
    焼きりんごのケーキ コーヒー  ハワイのときの1000倍おいしいと菜々子。
    3年前の秋は、機内食の最初のひとくちで涙ぐんで、食べられなかったのだ。
    ちびの菜々子は、山から持ってきた赤いりんごを、ぷんすか怒りながら
    いくつもいくつも丸かじりしてたっけ。映画「この世界の片隅に」を観る。
    窓の外の雲の切れ間から陸地が見えた。ひとっこひとりいない乾ききった
    荒野ばかりにみえる。「ロシアはでっかいねえ」と菜々子。
    たみ子さんは徐々に水分が抜け、ややしんなりしてきているものの、まずまずの
    踏ん張り。順番に交代で窓側の席につく。
    軽食・・きゅうりとレタスのサラダ パン ラタトゥイユとペンネ
    カットフルーツ(りんご・キウイ・桃のシロップ煮)
    窓の向こうにヨーロッパの町並みが見え始める。12時間の空の旅もそろそろ
    おしまい。時計を現地時間に合わせる。
16時   シャルル・ド・ゴール空港着。日本時間では22時。
    着陸後「ビヤンヴニュオパリ、アシャルル・ド・ゴール」とアナウンス。
    懐かしさでへたり込みそうになる。ようこそって言ってるよとふたりに伝える。
    バスでホテルへ。人々の暮らしが見えてくる。道に店に窓にゆきかうひとに。
    ホテルの窓辺に座り、通りに連なる石造りのアパルトマンをながめる。
    ベランダの植物の鉢植え、椅子とテーブル、ハンモック、ともる灯り。
    飽きない。夕食の買い出し・・うす緑のぶどう種なし2房 クロックムッシュ
    チキンとトマトのハンバーガー キウイフルーツのタルト あつい紅茶。
    くもり空の雲が少しずつ濃くなって光が薄まりゆるやかに日が暮れる。
    2年前に見た夢をふいに思い出す。わたしは旅支度のまま、今日のように
    菜々子と肩をよせ異国の日暮れを見下ろしていた。石畳が雨に濡れていた。
    馬車が通り、紳士が通り、少年少女が通る。皆、しずかに晴れ晴れと。
    部屋はちょうど今いる部屋と同じくらいで、あめ色の頑丈な木のベットに
    金の糸でふちを刺繍した、濃い緑のベルベットのカバーがかけてあった。
    ホテルの1階がレストランになっていて、あかるい厨房に白い湯気と色彩が
    あふれている。初めて会うなつかしい人たちとわたしはそこで働く。
    菜々子は明日から学校だね、うん。というような話をした夢。
22時   洗濯、入浴。日本時間では朝6時という時間に就寝。
     
    


      

2017年9月 3日 15:09

8月6日 日曜日 濃い灰色雲 
5時   起床。ヨガ30分。いつも朝はのんびりのたみ子さんが、
     朝食の支度をしてくれている。庭に野菜をとりに出る。
     湿った風が強くうねる。
     朝食・・パンケーキ ハッシュドポテト ケチャップ 
     きゅうりとトマトのサラダ あつい紅茶 ミルクティー(菜々子)
     10時に久万高原町を出発するバスに乗るつもりでいた。
     休日のためその便はないと気づいたのが朝食後。9時のバスに変更。
     バス停はここから車で20分。トランクにスーツケースを積みこむ。
     わたしのは紺色。20年前に買ったもので古くておおきいが中身があまり
     詰まっていないので持ち上げるとあっけないほど軽い。菜々子のは小ぶり。
     新品のライトグリーン。ちいさいくまさんがぶら下がっている。
     たみ子さんはわたしが8年前に新調したものを使う。彼女は今回が初の海外。
     荷物を積むその背中を大粒の雨が打つ。嵐の気配を肌で感じる。
     出発。直瀬の橋を越えるまで、広島に黙祷。
9時   久万高原町のケーキ屋、プティクリフで車を預かってもらう。
     開店前の支度中だったふたりがほのぼのと見送ってくれる。
     JRバスの乗り場へ。真新しいバスに乗り込む。おおらかに揺れ出発。
     途中立ち寄った駅の、パン屋のイートインコーナーで小休止。
     菜々子は紫芋のあんこ入りドーナツをおかわりした。タクシーで空港へ。
12時半 松山空港。ひとの波をぬけ搭乗口へむかう。
     ロビーでぼんやりしていると目の前で唐突にフラダンス・ショーがはじまり
     あっけにとられる。極彩色。びっくりしたまま見て、びっくりしたまま拍手。
     まだびっくりしてるな、と思いながら手荷物検査を受ける。
     ゲート前は一変してしずか。空気がほどよく冷えている。
     窓の向こうにおおきな飛行機。気分が清々する。
     もぎたてテレビが四国中央市産のキャビアを紹介している。
     ソファで昼食・・おにぎり弁当(晶子)・サンドイッチ(菜々子・たみ子)
     サンドイッチをたいらげたふたりから、代わる代わるおにぎりをねだられる。
     今、台風は九州にある。そのためなのかどうなのか
     この日の飛行機はとてもほんとうとは思えないほどゆれた。
     ちいさな子どもが心底こわがって、ひゃあひゃあひいひい声をあげる。
     そばへ行って、なでさすってやりたくなるほど。
     菜々子がぴったりすがりつく。たみ子さんはすやすや眠っている。
     大阪伊丹空港着。リムジンバスで関西国際空港へ。
16時半  空港前にある日航ホテル着。今日はここで一泊して、明日フランスへ発つ。
     たみ子さんは、荷物を広げ、備え付けの部屋着でベットに長々とのびている。
     もう夕食は部屋でかんたんにすませたいと言う。いいんじゃない。
     ホテルを出て、菜々子と空港を散策。
     多国籍な人々が旅支度でゆきかう。空港内で円をユーロに両替する。
     菜々子、異国のお札に見入っている。
     無印良品で紺色のスニーカー、洋品店で薄いピンクの腕時計(菜々子)
     ここに住みたいなあと、やたらめったら実感のこもった声でつぶやく12歳。
18時   部屋に戻り入浴。「パリでメシを食う」という本を読みはじめる。
     食べものの話かとあたりをつけて買ったけれど、どうもちがう。
     パリで好きな仕事で身を立てるという話だった。
19時   夕食・・おにぎりとコロッケ、カップヌードル(菜々子)どんべい(たみ子)
     空があかるく晴れ、見事な夕焼け。窓辺の椅子に座り白湯を飲む。
     たみ子さんがにこにことカップヌードルをすすめてくれる。
     ふたりの非常食としてわたしのスーツケースに入れておく。
     台風は今、四国。
22時   就寝。

     


     

2017年9月 2日 16:20

・3種類の野菜のポタージュスープ
・久万高原町9月2日の山の恵みサラダ
  つるむらさき モロヘイヤ オクラ ピーマン とうもろこし 塩ゆで
  グリーンサラダ きゅうりの生春巻き トマトのブルスケッタ
  ピーマン 長いも 長ねぎ サンマルツァーノトマト 里いも 素揚げ
  白なすとズッキーニのカレー とうもろこし入りポテトサラダ 
  赤ピーマンのロースト 4種類のトマトのサラダ 2種類の豆のサラダ 
  原木しいたけのコンフィ だいこんの塩麹マリネ ラタトゥイユ 里山風キッシュ
・野菜のソース・・・焼きねぎ味噌・サルサクルーダ・紫玉ねぎドレッシング
・自家製あけぼのパン
・豆乳ホワイトソースのちいさなグラタン
・きび砂糖と豆乳のミルクプリン ブラックベリーのアイスクリーム
・kitchenspoon9月コーヒー
・本日のお茶・・・久万の手もみ茶
   おひとりさま3000円

カテゴリ:旬のメニュー
2017年9月 1日 15:28

夏に読んだ本
・高野聖 泉鏡花
  異界への回転扉。
・チーズと塩と豆と 角田光代 井上荒野 森絵都 江國香織
  夏に読みかえす一冊。
・コルシア書店の仲間たち 須賀敦子
  よどみなく冴えている。
・春琴抄 谷崎潤一郎
  40歳をすぎてから、谷崎潤一郎をすっとよめるようになりました。
・世界の屋台メシ ジャン・フランソワ・マレ
  立ち上る市場の熱気とかおり。
・茨木のり子詩集 谷川俊太郎編
  一生読みます。