キッチンスプーン

『お店について』の最近のブログ記事

2017年9月12日 20:33

本日5周年を迎えました。
満天の星に虫の声。
しあわせな5年間です。
店で家族とささやかなお祝いをしました。
今日も明日もあさっても、一心につとめます。
山が恋しくなったらどうぞ訪ねてきてください。
あなたのお越しを、ここでお待ちしています。
深い感謝を込めて。
kitchen spoon 店主 姫野晶子


カテゴリ:お店について
2017年9月 7日 15:54

「マダムはね、わがままなんです。 世界中どこに行っても。」
お帰りの際。
最初から最後までやりたい放題だったお客さまにひとこと。
言いたいことは言いますよ。
のびのびと。
思ったときに思ったことを本人に。
マダムたちは一瞬目を見開き、さざめくような笑いとともに
外国製のうつくしい車でお帰りになりました。

カテゴリ:お店について
2017年8月30日 07:54

8月の軽トラ市、くまくるまるしぇに出店しました。
今回はサンドイッチ屋さん。
あさいちばんに焼いた5種類のパンのなかから好きなものを選んでもらいます。
地粉のピタパン・プレーンベーグル・オートミールベーグル・いなか風丸パン・ごまのカイザー。
オニオンぬきで、とか、ピクルスおおめで、とか、あつくなりそうですね、とか
いろんなはなしを聞きながらサンドイッチをこしらえます。
8種類の具材をぎゅうぎゅうにはさんで、塩をぱらり。自家製ドレッシングをたらり。
ああたのしい。
焼いてきたパンをならべるだけで大満足だったこれまででした。
サンドイッチ屋さんもいいなあ。
パンはどれでも200円、サンドイッチ400円。
次回くまくるまるしぇは9月24日。
わたしはその日は直瀬運動会で走ったり飛んだりしなくはいけないので、お休みです。
次回の出店は、10月22日日曜日 10時から14時です。
数に限りがあります。お早めのお越しをおすすめします。

カテゴリ:お店について
2017年8月23日 15:18

緑の山奥でぽつんと店をしています。

ときどきお客さまとふたりだけ、という日があります。

なぜだかわかりませんが

そんな日は涙をこぼされる方がおおい。

そして、そんなときは

お客さまのほほをぬらしていた涙がかわき、自然な笑顔がもどるまで

誰も来ません。

ひとっこひとり。

なぜだかわかりません。

でも、世界はほんとうにうまくできていています。

カテゴリ:お店について
2017年8月19日 17:17

休暇もいいが仕事も好きだと、つくづく実感する毎日です。

料理はたのしい。

庭の野菜を朝摘んでキッチンにずらりとならべたら、

もうあとは、気のむくままに気のすむように、もくもくと仕込みます。

なす。 焼く。 これは煮て、これはひたす。

きゅうり。 切ってさらす。こっちはきざんでもむ。もうひとつはざっくりわる。

トマト。 生できざむ。 これは炊いて冷ます。しっとり和える。

あたまから湯気が出るほど考えこんだりはしません。

呼吸の中でしずかに動き、いきいきと沈黙。

カテゴリ:お店について
2017年7月25日 09:07

山のみんなが集まって、お巻きずしを作りました。

久万で英語教師をしているクリスの家族が、アメリカからはるばるやって来たのです。

最初は手巻きがいいかな、と思っていたのですが

海外生活の長かった友いわく、巻き寿司のほうがよろこばれるとのこと。

なるほど。

たしかに。

おとなも子どもも、巻きに巻いてよく食べました。

いつかかならずアメリカに来て、と言ってくれるのはうれしい。

でもわたしは、あなたとここにいる今が、何よりうれしい。

具材はもちよりでした。

しいたけ 高野豆腐 玉子焼き ごぼう きゅうり ゆでにんじん

アボカド トマト 長いも かにかまぼこ 鶏のてりやき 

大葉 アーティチョークとチキンのサラダ 生春巻きセット

お手製のたれやソースがずらり。

カテゴリ:お店について
2017年7月11日 10:59

庭の夏野菜がぐんぐん育っています。

ししとうがらし ピーマン なす かぼちゃ トマト 

きゅうり おくら みょうが にら ねぎ 大葉 バジル

わたしは夏が好きです。

ほかの季節と同じくらい。

どんなに蒸し暑くてもへっちゃらです。

いっそのこと、ひなたにいるほうが気分がいい。

でも若いころは、真っ青になってばったり寝込んだりしてました。

だから気を抜かないで、今の季節から、からだを慣らしていきます。

あなたのお役に立つかどうかわかりませんが、

わたしがこれと思っている、からだを涼しく保つひけつは、こんなふうです。

朝いちばんに、畑のきゅうりやトマトを丸かじり。

水分のかわりに夏野菜をとります。

すいかもいいですね。

水は常温。氷はめったにとりません。

主食はかるいものに変えていきます。

ぶつきのごはんや麦入りごはん、小麦でできたパンやおそうめん。

おかずやお味噌汁はだいたいいつもとおりですが

だいこんおろしとすっぱいもの、しょっぱいものを添えます。

食後のあついお茶と、ゆっくりつかるおふろがかかせません。

カテゴリ:お店について
2017年7月 2日 07:08

ランチは、おまかせのコース1種類、予約制。

このスタイルになって2年がすぎました。

わがままな店です。

こうなった理由はいろいろですが、腹をくくった決め手はひとつ。

はるばるとお越しくださったお客さまを、おことわりするのが苦しい。

これにつきます。

8席の店です。

こんな山奥まで来ていただいて、椅子とりゲームみたいなこと、させたくありません。

生きるために食事をする日常。

そこからすこしはなれて、わたしのテーブルについている間だけは

どうかふかく味わうためだけに生きてほしい。

そんな願いから作った店です。

営業日以外でもご予約があればできるだけ店をあけます。

まずはお気軽にお問い合わせください。

あなたのために、じゅうぶんにしたくをして

ご来店お待ちしております。

カテゴリ:お店について
2017年6月29日 18:27

ディナーのご予約があるのは、週に2回くらい。

たのしいです。

1日1組のかしきりですから、なんだって作ります。

おひとりさま5000円のおまかせのコースがあるのですが

お客さまのお好みでいかようにでも。

肉まみれ。 いいと思います。

ややこしいことぬき。ピッツアをたらふく。 おまかせください。

樽を持ち込んでビアガーデンがしたい。 すてき。

母国の家庭料理が恋しい。 やりましょう。

親子三世代でお子さまランチ。 とくいです。

カテゴリ:お店について
2017年6月 6日 16:52

由良野の森の工房カフェは、子どもたちの遊び場になりやすいようです。

みんなお店屋さんごっこが好きですから

カウンターのなかは、我こそは子供店長と息巻くおちびさんだらけ。

でもね、まああたりまえですが

お店をひらくのとお店屋さんごっこはちがいます。

おままごとではないので、彼や彼女の思うようにはなかなかなりません。

で、みんなおこったりへそを曲げたりとにぎやかで、かんじんの仕事はいっこうに進まない。

おおいに困ったのは唯一。

ここにひとり、遊びきれていないわたしがいる、ということ。

カテゴリ:お店について
2017年6月 2日 15:47

我が身をふりかえっていました。

ぼんやりと。

わたしは今、好きな仕事で好きなごはんを食べています。

不満はないです。

でも、かつてはこんなにきっぱり言い切れませんでした。

それどころか、料理がいやになって全力で逃げたこともありまして。

はい。

情けない気分でした。

畑に置いてけぼりにされて、しおれていくなすみたいに。

そんなときは仕事だけではなくって、暮らしも愛情生活もずたずたでした。

おなじ人間です。

おなじようなことをしています。

今となにが違うんでしょう。

ふっくらとやわらかいかっこうの声がやまびこしています。

よくわかりません。

ただ、ああもうやってられないと、ひとりつぶやくような苦しいときに

でも、これはもうまるごとぜんぶ自分の責任なんだと

多少やけっぱち気味でも言い切れるようになってから

なにかが変わりはじめた気がします。

カテゴリ:お店について
2017年5月25日 17:42

おみやげの品をたのまれました。

県外から久万高原町に来る講師の方にさしあげるのだそうです。

手づくりの品をというおはなしでした。

滞在中のお食事は、すべてわたしがご用意させていただくことになっています。

ほんとうにありがたいことなのですが

うれしい気持ちを鎮めて、考えなおしました。

久万高原町にはおいしいものを作るひとたちがいっぱいいます。

わたしひとりではりきるより

自慢の特産品を吟味してそろえたほうが、だんぜんいいに決まってます。

ひとかかえのおみやげがご用意できました。

久万の手もみの新茶 てっぺん紅茶 野草しお ふきみそ

高原よもぎうどん たかきびのトマトソース ざっこくセット 

秋トマトのジュース 山のりんごケーキ 水まんじゅう 木彫りのマグネット

ブルーベリーと柚子のショートブレット よもぎのショートブレット

友人がつとめる作業所のクッキーどっさり

カテゴリ:お店について
2017年5月12日 08:10

わたしの家族は、あまいものが大好きです。

なので、ちょっと手が空いたら、あるもので工夫しておやつを作ります。

ごくありきたりなものですが、家族はよろこびます。

カスタードプリン。

クレープ。

くだもののシャーベット。

ベイクドチーズケーキ

家庭的すぎて、店ではちょっと出せないかな、と思うのですが

食後のはなしに花が咲いて、ああ、おしゃべりがたのしい。

もう一杯お茶をいただきます、という気分でいるお客さまには

お出ししてしまうんですね。

ついうっかりと。

カテゴリ:お店について
2017年5月 8日 19:46

豪快なエンジン音が里山中にやまびこして

お着きだとわかりました。

京都からきた7人のバイクのひとたちに、行楽弁当をご用意。

みなさん若々しい。

学生さんですかと聞いたら、ひとりは学生であとは社会人です、とのこと。

びっくりしました。

たらの芽の天ぷら わらびの炒めもの クレソンのおひたし 

こぶたかなの塩炒め たけのこ、しいたけ、こんにゃくの炒り煮

新キャベツのコールスロー 玉子焼き 焼き塩鮭 鶏のから揚げ

山のおつけもの 玄米ごはん 白ごはん

カテゴリ:お店について
2017年5月 3日 17:07

今日、お店をひらきました。

おむかえしたのは2名さま。

いつもに近い感じで料理が出ました。

仕込みも掃除も営業も片付けも。

しみじみとうれしかったのですが

おそるおそる時間をかけて、いつもに近い感じに仕事ができたのが

うれしい。

といったところ。

まだまだです。

明日は8名さまと、ディナー。

カテゴリ:お店について
2017年4月19日 18:33

母がわたしもピアノをはじめると言い出しました。

あっぱれ62歳。

あなたはすてきです。

友が、おひるを食べに街から来てくれました。

くたびれはてて。

笑顔が、くったりとたよりない。

こんないうすいからだだったかなあ。

そんなはずないけど、でも、あばらが透けて見えるような気がする。

無我夢中で食べながら、うとうとしています。

こんなにつかれてるひとを、わたしはひさしぶりに見ました。

食後。

離れに案内しました。

あたたかい部屋の窓から、ちりゆく桜とほのあかるい空が見えます。

あついコーヒーと焼きたてクッキーをはこんだら

もうあとはほったらかし。

カテゴリ:お店について
2017年4月 3日 09:22

仕事があるというのは、うれしいことです。

レストランの仕事はシンプル。

おなかをすかせたひとがやって来て、おなかいっぱいになって帰っていきます。

朝、せっせと仕込んだものが、夜、きれいになくなります。

いちからはじまって、ゼロにもどる毎日。

春 夏 秋 冬

まったく飽きません。

大好きな摘みたてのよもぎの天ぷらが、今年もおいしいです。

カテゴリ:お店について
2017年3月29日 16:26

離任式のあと。

先生たちのお食事をご用意しました。

お別れの日のおひるごはん

・にんじんとまめ、じゃがいものクリーム・スープ

・7人のおとなのためのお子さまランチ

  里山コンビネーション・サラダ  まんまるハンバーグ

  サーモン・コロッケ 田舎風キッシュ ちいさなグラタン 焼きたてパン

食後のいちごケーキを作ったのは、直瀬っ子。

コーヒーだってがんばっていれました。

先生たちにケーキ作るの手伝って、とわたしは気軽に声をかけたのだけれど

ほんとうは腹ペコでかけつけてきたのをだまっていた直瀬っ子。

自分たちはお昼も食べずに。

まかない・・・手打ちパスタのグラタンてんこもり よもぎの天ぷら

カテゴリ:お店について
2017年3月26日 20:07

お帰りのさい。

ご来店されたお年寄りが、ああっとちいさくほそく叫び

からだ全体で右手つつむようにして立ち尽くしました。

息をのむまも声を出すまもなく、考えるより先に動くからだ。

そっとからだを寄せてその手をとると、

お年寄りのうすくやわらかい手にちいさなとげ。

木のいすの背もたれに、ほんのわずかなささくれが見えました。

胸がぎゅっとなります。

とげは上手に抜けましたが、針の先ほどの赤い血がでました。

おばあちゃん、ごめんね。 抜けました。 痛む?

ふたりの目と目がパチンと合います。

お年寄りのちいさなひとみに、ほんわりとやさしい笑いがにじみます。

もうなおった。

えっ。

まるで、ほんの一瞬このひとの孫にしてもらったみたいでした。

カテゴリ:お店について
2017年2月 1日 16:38

今日はうれしい営業初日。

おそうじも仕込みも、思うぞんぶんできました。

まきストーブはあたたかく燃え、豆とスープとお茶のいい香り。

さあ、あたらしい一年。

朝日をほおに浴びながら、ふかく呼吸をしてやわらかく立ちます。

今年もいちからやるのです。 と

からだじゅうにしずかな気があたたかく満ちた、その瞬間から

じゃんじゃかじゃんじゃか電話がなりはじめました。

初日、満席。

感謝しか、ない。

カテゴリ:お店について
2016年12月 7日 15:15

よくわからないものは、もう作りたくないなあと思います。

なんだろうこれはという色のスープとか。

見たことも食べたこともないパンとか。

なじみのまったくない味付けとか。

日々、その日のやさいと追っかけっこのキッチンなので

おなじものを作るのはとても無理です。

ですが

見た目じゃない、味です。

とつよく言いきるようなひとさらには、ならないようにしたい。

せめて、いつかどこかで見たり食べたりしたことのある感じが

とおくのほうでするように。

カテゴリ:お店について
2016年11月18日 15:06

どうしてこんなちいさい店を作ったんでしょう。

たった8席。

来てくださるあなたがいることに、今日もここで料理を作れることに

ごくあたりまえだと感じているすべてに、いまさらですが

心底びっくりです。

ああ。

そうです思い出しました。

もともとは、ここでおもにケータリングをやるつもりでいました。

建築家の山下さんとあれこれなんどもなんども話すうち

ここで食事がしたいというひとがきっといるから席を作ろうということになったのでした。

最初は机ひとつに椅子4つ。

むくっとふえて8席。

カテゴリ:お店について
2016年11月 2日 16:47

ハロウィンというのは、もとはいったい何なのか

今はどんなふうにとらえられているものなのか

まるっきりわかってないのですが。

その日直瀬は、冬の気配がする冷えたくもり空を

一羽の大きな鷹がゆったり羽をひろげてわたっていました。

あきこさーん。 はいはい。

おもいきって仮装してみたんだけどこれでいいの、という顔の子どもたち。

お菓子をどっさりくれました。

チョコレート キャンディー お母さんの手作りクッキー

おばさんからの差し入れ、お手製カステラ  

生まれてはじめて作った、クリームプリンとチョコプリン

赤と白のチェックの紙つつみの中は、ノートとえんぴつのおくりもの。

もうね

あわてました。

カテゴリ:お店について
2016年10月31日 11:25

料理教室がたのしくなってきました。

びっくりです。

ずいぶんおよび腰でしたから。

ところがどっこいたのしくなってきたじゃありませんか。

生徒さんのおかげです。

出会ったひとたちがどんどん仲良くなっていくようすを見るのが、うれしい。

たいせつなのは、何を食べたかより、誰と食べたか。

いっかいこっきりのひともいれば、ずーっとかよう気満々のひともいます。

どっちでもいいと思います。

カテゴリ:お店について
2016年10月20日 15:02

もっとわかりやすい料理を作ろうと思います。

最近のわたしは、野菜をさわりすぎでした。

ひとつひとつに手をかけるのと、作りこみすぎるのは、ぜんぜんちがいます。

どれが主役か、これじゃわからない。

なにを食べたか、残らない。

野菜自体の味付けをぐっとひかえます。

そのかわりに、おいしいソースをしっかり作って、いくつかそえます。

きっかけは、神戸の先輩たちのお店がのっている本を読みなおしたことでした。

ル・フェドラ 梅原さん。

レストラン ぺルージュ 栗岡さん。

ああだめだだめだ。

わたしの料理、もっともっとちゃんとやってかないと

お前まだそんなことやってんのって、昔みたいにしかられるー。

カテゴリ:お店について
2016年9月30日 17:43

キッチンのすみに、ふるい机があります。

ゆったりくつろげる木の椅子に腰かけると、

目のまえのちいさい窓から、花をつけたきんもくせいの木が見えます。

ふだんはわたしが使っています。

どなたでもどうぞと、すすめられるような場所ではありませんが

ときどき客席にもなります。

意外と人気です。

術後まもないために口もとがまひしている、という若い女性がご来店。

まわりからの視線を気にするようだったので、ご案内。

満席の日にふらりとやってきたはらぺこの友人。

手が空いたら話があるというのだけど、手が止められないので、ご案内。

なんとなく仲間はずれにされた気がして、涙が止まらないちびっこも、ご案内。

カテゴリ:お店について
2016年9月28日 12:23

あなたの至福って、どんなものですか。

はらぺこの朝の焼きおにぎり。

だれかの腕の中。

お気に入りのあの名曲。

ふいうち。

きんもくせいの花がひらくとき。

久万美術館に、今すばらしい絵がきています。

風景の向こう 松田正平 喜多村知

ぜひあなたも。

カテゴリ:お店について
2016年9月28日 10:46

ワインバーをしていたころのお客さまがご来店されました。

ご予約のさい。

お話をしながら、何か今ふわっと、遠くのほうでなつかしいかおりがしたかな、と。

なめらかにひかるワインの赤。 こっくりと濃い栗色のソース。

上手に焼かれた鴨肉の赤。 バターの白。 干しぶどうと熟成したチーズ。

ほの暗い店内で、群れつどう人々が放つおぼろな熱気。

ああ。そうか。思い出した。

そのご夫婦は、いつもしずかにほほえみ、肩をよせていました。

こんな緑の山奥で、またお会いできるとは。

同時に、どうしようもなく未熟で無謀で若々しい、わたしとも再会。

線路は続くよどこまでも。

カテゴリ:お店について
2016年9月23日 04:54

高知から3時間かけてひとりで来た、というひとが

はらはら涙をこぼします。

自分を好きになれないと言って。

雨上がりの里山は、虫の声。

わたしたちは、ふたりであついお茶をのみました。

あなたが自分をきらいだと言うとき

それは、海を、山を、川を、空を、星をきらいだと言っているのと同じです。

そんなこと、言いたくないでしょう。

あなたは、あなた以外のものだけでできています。

カテゴリ:お店について
2016年9月16日 18:07

名月の夜。

山のてっぺんの、石の上にいました。

山の峰。 白い霧。 

空気はつめたく湿っています。

友人とふたりでしたが、ひとりがふたり、という感じでした。

車を降りてから、ずっと足元を照らしてくれていたちいさなあかりを

消してもらいます。

座ります。

ゆったりと。

静寂に身をひたし、闇にやすむ、秋。

カテゴリ:お店について
2016年9月16日 17:55

思いやりのあるひとは、気づきを強制しません。

相手の学びを邪魔しません。

そんなふうにして、わたしはいくども助けられてきました。

ある日の料理教室。

困っているひとにいいものを勧めたのに、まったく聞き入れてもらえなかった と

くやしそうに口元をゆがめるひとがいました。

うん。  あなたが苦しんでどうしますか。

必要なのは指導じゃない。

黙っていても伝わることのほうがおおいのだから

じっくりでないと。

カテゴリ:お店について
2016年9月14日 21:11

はじめて自分でつけた梅が、すっぱくてしょっぱくて、たまりません。

ああ。

こう書いているだけで、口もとが自然ときゅーっとなります。

色はいい。 ゆかりもできた。 3日3晩干して、夜露にもあてました。

梅は直瀬の野良梅。 かおりも申し分ない。 かびもなし。

ただですね

塩分20パーセントでこしらえたものですから。

どなたにお話しても、うわあーなんでまた。それはおおいよーといわれます。

はい。 おおかったみたいです。

昭和のはじめのころの料理本をお手本にしました。

ひとつぶを、ちびりちびり。

用心しいしい、かじります。

カテゴリ:お店について
2016年9月14日 20:17

メキシコ人のお母さんとアメリカ人のお父さんをお持つ青年が

久万高原町で暮らしています。

彼が異国ではじめてのお誕生日をむかえるというので、

山の友人たちと集まることにしました。

誰ひとり、ちゃーんと作ったことがあるひとはいなかったんですが

とにかくタコスを作ろう!ということに。

持ち寄りです。

あるひとは調べに調べ、あるひとは直感で、またあるひとはそんなこととはつゆ知らず。

わたしは想像たくましく。

奇跡のようにもれなくそろった材料で、いちから手作りです。

味見は主賓のお役目。

彼だけが正解を知っている。

カテゴリ:お店について
2016年9月14日 19:52

由良野の森の陽子さんのはなし。

4頭いる山羊のミルクが、毎日毎日じゃんじゃかじゃんじゃかとれて困ってしまい

とにかく保存をと考え、お砂糖を入れて3時間、煮詰めに煮詰めてジャムにしたら

ひとさじで地上の楽園気分になれるくらい、おいっしいものになったのだけれども

そのミルクジャムが毎日2リットルずつできてしまい

だからといって売るとなると、いろいろ決まりごとがあってたいへん。

今朝。

姫ちゃんこれ。 持ってきた。

山羊の冬草代をカンパしてくださる方にお分けしてほしい、とのこと。 

お味はばつぐん。

カウンターに並んでいます。

ぜひお試しください。

カテゴリ:お店について
2016年9月12日 20:14

kitchen spoonは今日で4周年をむかえました。

しみじみうれしいです。

休日でしたから、誰もいない店でしずかに座り

開け放した窓のむこうの、刈り入れの終わった田んぼや、あぜ道のすすきを眺めていました。

午後になって、山の向こうの森で暮らす友人がやってきました。

ふたりですこし話をして、熱いお抹茶をのみました。

ケーキ屋の友人がやってきました。

お祝いにと、秋のくだものと木の実がどっさりのっかった、チョコレート・ケーキをくれました。

近所のおじさんが、店のまわりの伸びた草をいっきに刈ってくれました。

9月。 

同居していた90歳の祖母が亡くなりました。

老衰でした。

家で看取りました。

こころやさしい先生と看護師の友人と、母とわたし。

平和な最後、とまでは言い切れませんが、おおむねしずかな見送りでした。

そんなに悲しくなかったような気がします。

それでも、しばらく料理する気になれませんでした。

庭のコスモスが日に日に花をふやす、そのうす紅色を、頬杖の中からぼんやり見ていました。

今日、家族にピッツァを作りました。

生地をこね、赤いトマトのソースをぬって、秋野菜をつぎつぎにのせ、チーズをちらして焼く。

たのしかった。

料理をたのしんでいる自分を、あたらしい自分のように感じました。

今日から5年目。

どんなときも、わたしは誰かのために、料理を作りたいです。

ふかい感謝を込めて。

kitchen spoon  姫野晶子

カテゴリ:お店について
2016年8月21日 13:38

東京から夏休みをすごしに毎年いらっしゃる男性は、

82歳の現役のお医者さま。

どう。 一年前とくらべて、やつれてみえる? 

じっと見つめ合います。 お世辞は言いません。

いいえ。 まったく。

そう。 でも、あちこち弱ってはいるんだよ。

そうですか。  そうだよ。

わたしには、自然できれいなお体に見えます。

そうか。

やわらかく光るしずかな目に、山の緑。 

カテゴリ:お店について
2016年8月21日 12:49

好きなことを仕事にしていて、いいですね。

そうおっしゃるひとのお顔を、わたしはじっと見ました。

ありがとうございます。

つい最近なんです。 こんなふうになれたのは。

わたしはかつて、料理が心底いやになったことが何度もあります。

高校を卒業後、大阪の辻調理師専門学校のフランス料理専門カレッジに行きました。

一年という約束で、フランスで学び住み込みで働きました。

もうこのまま、この国で恋をして家族を持ってもいいと、ほんとうに思っていました。

帰国後、神戸で7年過ごしました。

フレンチのレストランとパン屋さんと、ハーブ園で働きました。

神戸がわたしを育ててくれました。

松山に戻ってから、当時結婚していたひととワインバーをしました。

やがて夫婦が夫婦でなくなっていきました。

同じ料理人の彼をわたしはずっと尊敬していましたが、もうだめでした。

むすめを連れて、出張料理人とケータリングを2年したあと、山で店をはじめました。

ひどいやめ方をしたこともあります。

若いころはそもそも意気地がありませんでした。

離婚したときは、だれにも何も言わず、お礼もお詫びも説明もしないまま

店を出ました。

お世話になったひとに、だれひとりとして、じゅうぶんにご恩を返せていません。

悔いの多さには、自覚があります。

18歳のとき、わたしは好きなことを仕事にえらびました。

なにひとつ、うたがわなかった。

39歳になった今、ようやく、わたしはこの仕事が好きだと言えます。

毎日ただ一心に料理をしています。

カテゴリ:お店について
2016年8月 4日 18:58

毎月出店していた久万町商店街の軽トラ市を、今年の4月からやすんでいます。

山の小さな小学校のPTA会長になりました。

頼りになるお父さんは直瀬にいーっぱいいるのに、なんでまたわたしなんかが?

ちんぷんかんぷんなまま引き受け、よくわからないなりに細々と努めています。

大好きな軽トラ市ですが、曜日が重なることの多い学校行事はあけられません。

むむー。

1年間出店はあきらめ、仲間にあやまり、おやすみしていたのですが。

今回はいけるという日がありました。

久々に会うかなこさんと、久々のゴッチン・スプーン開店です。

ももと赤い木の実の自家製蜜のかき氷屋さん。

カテゴリ:お店について
2016年8月 2日 21:12

休日はゆっくりがいいですね。

お問い合わせがあり、定休日に店を開けました。

いいものです。

とてもくつろいでいますから、仕込みもスムーズです。

念入りに掃き掃除をして、はっか油入りの水で床をすみずみまで拭きます。

木のテーブルはよく磨き、ドリップしたあとのコーヒー豆を布につつんでみがきます。

仕上げに打ち水。 

気持ちよく支度ができしました。

山荘に訪ねてくるひとを待つような気分。

カテゴリ:お店について
2016年7月27日 20:31

ちよさんが山に来ました。

彼女は、松山でご主人と玄米菜食のお店をしています。

お店の名前は風味花伝。  

2日間の夏休みを、久万高原町で過ごしにやってきました。

両手いっぱいの荷物はぜんぶおみやげです。

まだあたたかい手作りのかぼちゃコロッケ 自家製トマトソース 

焼きたてパン 上等のオリーブオイル おいしいのり 

瀬戸内海の島のいちごあめ レモンの焼きメレンゲ

エプロンがちらり。 

翌日は、kitchen spoonで一緒に料理をするのです。 

もぎたてきゅうりをぱりぱりかじりながら、緑の山奥をドライブ。

杉林はほの暗く、苔むした岩肌は山水で濡れていました。

カテゴリ:お店について
2016年7月27日 20:14

夏休みです。

おもてで自転車のとまる音がしたな、と思ったら

汗びっしょりの直瀬っ子が3人、キッチンにわあっとやってきました。

いいにおい! ぼうしかしてください。 あ、ぼく、すももはいいです。

そうじ手伝います。 ちょっとーそのぼうしわたしも! うわっ、このすももにがい。 

こっちはあまいよ。 コーヒーのみたいなー。

あのひと、帰るんですか。 ありがとうございました。 また来てください。

わたしはあなたたちに、いらっしゃいという間もない。

カテゴリ:お店について
2016年7月22日 20:16

パスタがおいしいって聞いたんです。

旅の途中に立ち寄ったという女性。

あるもので何とかこしらえてみましょうと言ってはみたものの

パスタ生地用の地粉がもうない。 わかっています。

今日のメニューを、こきびと玄米のリゾットにしたのはそのためでしたから。

今ここにあるのは、自然農の全粒粉 地とうきび粉 ごくわずかな地粉 

それに、地鶏のたまご 塩 太白ごま油

へー。 今から作るんですか。

お連れの男性と仲良く肩をならべて、カウンター越しにのぞきこんでいます。  

はい。 そんなにむつかしくはないんです。

えー。 そうなんですか。 

はい。 ただ、おいしいかどうかは、できてみないとわかりません。

あははははと3人で笑いあって

あとはもう夢中。

既知より未知が、わたしはすき。

カテゴリ:お店について
2016年7月15日 21:02

ある日。

ご予約は、大学で英語を教えている年上の友人、おひとりでした。

ふたりっきりでしたから、会話は英語でとお願いしました。

わたしの英語は中学校でとまっています。

不思議です。

わたしは、いつもなら、日本語なら、ぜったいにしない話ばかりはじめていました。

つぎつぎに。 まるで今日が人生最後の日だとでもいうように。

なぜだかはわかりません。 でもほんとうにたのしかった。

命を使って、見つめ、聞いて、話す。

話すことが生きることになっていた、3時間。

カテゴリ:お店について
2016年7月 2日 20:05

子どもたちの遠足が雨で二回のびました。

しかたがない。 おべんとうとおかしをリュックにつめて登校です。

行き先は、まあ、学校なわけです。

店から学校にお電話しました。

先生、子どもたちとあそびに来てください。 

一緒にクッキーを焼きましょう。 

それをね、おべんとうを作ってくれたおうちのひとにおみやげする、

というのはどうですか。

えええ。 えーっと。

はい。

来てくれました。

子どもたち全員で豆をごりごりひいて、先生にコーヒーもいれました。

カテゴリ:お店について
2016年6月20日 08:43

好きな人をディナーにお連れしたいんです。

若い女性からのご予約でした。

お相手は、少々気まぐれな年上の男性とのこと。

ご予約の声から、とうめいな期待と不安があふれるように伝わります。

そそうのないように。 こころにかなうように。 くつろいでもらえるように。

落胆したくないわたしもいる。 どうすれば。 お支払いは。 マナーは。  

こんなとき。

もう十分とおもえるまで仕込みをして、きれいにしたくをすませたら

すっぱり手を止めて、ゆったりとくつろいでお出迎えをします。

いつも通りのあなたでいられるよう、陰ながら専念することが

今夜のわたしの唯一の仕事。

カテゴリ:お店について
2016年5月20日 18:15

おひとりさまがふえました。

とくに男性。

テラス席を好まれます。

5月の野外の日ざしはしんしんと強く、ときに風もつよい。

あるのは、山、空、水の音。

沈黙をこわすのがあまり好きではないので

ほとんどおかまいしません。

はい。

男たちの背中が

それでいっこうにかまわない、といっている気がして。

カテゴリ:お店について
2016年5月12日 17:51

5月18日水曜日 28日土曜日

小学校の参観日と、森のカフェへ出張のため、食堂はおやすみです。

久万高原町の友人からお昼前に電話がありました。

この前のスコーン。あれが食べたくて食べたくて。今から作ろうと思うんやけど。

家にあるものでできる?   いっぱい焼いてガラスびんに詰めときたい。

作り方ね。 メモ、いい?

庭のいちごの実が赤い。

おいしくできたかな。

カテゴリ:お店について
2016年5月 6日 18:01

大型連休です。

藤の花のうす紫。おおでまりの白。里山は緑。

つばめの羽は、黒にるり色。 

いろんなところで料理を作りました。

お店。 友人のお台所。 木陰。 そして家。

くつろいでいるひとをたくさん見ました。

おとなも、こどもも、おとしよりも。

なによりです。

あなたの平和が、わたしの平和。

カテゴリ:お店について
2016年5月 5日 19:28

あけはなした窓から、すいーっと。

かわるがわるやってきて、そのうつくしい姿を見せてくれます。

店の中で巣作りのそうだんをしている、あなたがた。

よくきいて。

巣はおそと。

またあえてうれしい。

カテゴリ:お店について
2016年4月19日 21:16

きもちのいいものですね。

朝つゆがすっかり消えたあとの、あたたかい草のうえで

ことりの声を聞きながらはじめてのヨガをしました。

1時間があっという間で。

終わってすぐに、このまま半日でもやりつづけたい、と思うほどでした。

だいまんぞく。

ここちいい余韻にからだをひたしていました。

ふかい平和にみたされているとき、ひとはしずかです。

若いかえでの木のした。

カテゴリ:お店について
2016年4月15日 21:09

1期生のみなさんと料理教室のため、食堂は貸し切りです。

前半は、生徒さんのうちのおひとりにヨガを教えてもらいます。

ヨガをしているときの彼女は、ほんとうにすてきです。

ひと粒の真珠みたい。

それから食事をして、コーヒーを飲みながらのんびり座学をします。

内容はこんなふうです。

春の食事とたべかた

野草 ヒント集

あずきを食べましょう

野山に行くならサンドイッチをおともに

はらっぱでお茶を

テキスト作りが楽しすぎて終わらないかと思った。

カテゴリ:お店について
2016年4月 8日 16:51

さくらが散るころの野菜は、淡い。

かすかなにがみ。 ほのかなあまみ。 みずみずしさの奥のかおり。

山菜も摘みたてならあくは感じません。

菜花をゆがくなら一瞬でいいし、ふきはすじをとらなくていいでしょう。

朝露にぬれたつくしは、はかまごとさっと素揚げにします。

つみたてのクレソンは、山水の味。

味見のとき。

にぶくなったのかと、とまどう春。

カテゴリ:お店について
2016年4月 7日 19:11

取材のご依頼のお電話があったとき

わたしは受話器を耳にあてたまま、目をとじてほお杖のなかに深々と沈みこみ

あるひとのことを考えていました。

どーして取材を受けないんだ、とすねていた、建築家の山下さんのこと。

彼はこの店の生みの親で、たいせつな友人です。

ま、これはもう。    ご恩返しだな。

マチボンにのりました。 

kitchen spoon が雑誌にのるのは、3回まで。

あと1回でおしまいです。

あしからず。

カテゴリ:お店について
2016年3月31日 20:13

今までは、地元のおじさんが機械で割ってくれていました。

今は、わたしが斧で割っています。

これがなかなかいいです。

すぱーんとまっぷたつになるとき。

今ここにわたしはいます。 専念しています。

薪を割ることしかしていません。 

まっぷたつにならないとき。

今ここにわたしはいません。

かわらない過去や、わからない未来をちょっとうろうろ。

ここはひとつ、武士のように。

すぱーんといこう。 

カテゴリ:お店について
2016年3月 5日 16:36

お食事のあと、お客さまといっしょに山菜つみをしました。

おや、と顔をあげた地元の農夫。

なに。 ふきのとう。 

まだじゃない。 うん。ちょっと。

足のうらにふかふかとやわらかい土を感じる、古いあぜ道。

くずれかけた石垣のそばに、菜花がひとたばありました。

日当りのいい田んぼに、ほっこりと丸いふきのとう。

畑のすみに、のびるがすこし。

手のひらのうえのほわほわとやわらかい山菜を

ひとつも落っことさないように大切そうに見つめるひとの顔もまた、やわらかい。

今年は春が早い。

カテゴリ:お店について
2016年3月 4日 15:23

自分の仕事は自分でつくる。

そういうひとにとって、久万高原町はねがいごとのかなう町です。

ひつじを飼って、その毛を刈ってつむいで、はたで織った布を染めているひと。

まず山を買って、木を切って木を売って、自分で家をたてて暮らしているひと。

庭のおおきな松の木が気に入って移り住み、古い家を手入れしながら子を産み育てるひと。

一日のほとんどを大好きでたまらない台所と畑ですごすひと。

山の工房でこしらえた革製品を、車にいっぱい積みこんで走り出すひと。

どうでしょう。

あなたもぜひここに来てください。

カテゴリ:お店について
2016年3月 2日 21:10

べつべつにお越しになったお客さま。

どちらともなくぽつりぽつりとはじまるおしゃべりは

つづいたり、つづかなかったりさまざまです。

ふわっともりあがって、すっとひいて。

お天気みたい。

会話のなりゆきを聞いているうちに気がついたのですが。

あいまいなことをあいまいなまま受け入れて

お互い引き分けになるように、だれもが折り合おうとしている

初対面のひととひと。

カテゴリ:お店について
2016年2月28日 07:01

今日は月に一度の軽トラ市。

久万まち商店街で友人一家とお店をひらきます。

とびきり早起きをしてパンを焼きました。

夜明け前。

里山は、海の底のような青さです。

地粉の田舎パン・こきびのひねりパン・やわらか白パン

豆カレーのピロシキ・野菜のもりあわせパン・にんじんグラッセパン

黒もちきび粉のスコーン・地とうきび粉のスコーン

ひとくちごとに、むくっと元気が出るようなパンがいいなあ。

カテゴリ:お店について
2016年2月12日 16:47

ひとりで食事をしてはいけません。

がつがつ食べてはいけません。

そんなふうにきっちりしつけを受けてきたひとは

ひとりでテーブルにつくときも、ごく自然にふるまうことができるのでしょうか。

とおい異国からたったひとりでやってきた青年。

その食事風景があまりに洗練されていて、わたしはびっくりしました。

すこし話をきいてみると、彼のお家は貧しかったのだそうです。

なるほど。

2回打たれてしまった。

カテゴリ:お店について
2016年2月 2日 21:38

久々に仕込みをしようと、野菜の調達に走りました。

ないものですね。

頬杖の中でちょっと途方に暮れたあと、ふいに笑いがこみあげて。

しかたありません。 

あたりまえです。

あんなに雪がふって、野も山もぐっすり眠っているのですから。

わずかな根菜と葉野菜。 豆、雑穀、乾物。

じゅうぶんある、という気になってきました。

なんとかこしらえましょう。

からだの中をあたたかい水がゆっくりみちていくような、ひとしなを。

カテゴリ:お店について
2016年1月27日 08:49

旅から帰ってきたようないい気分です。

のびのびと。

羊飼いの友人一家を訪ね、はたおりをならいました。

雪の降り始めたころから奥の間にこもり、3枚の布を織りました。

海の見える場所で冬の会をしました。

夕日は、とうめいな桃色やすみれ色にひかっていました。

山にも谷にも田畑にも、どっさり雪が降りました。 

娘とそりすべりをした帰り道、家の目の前でちょっとだけ遭難しかけました。

読みたいときに読みたいだけ本を読みました。

野口晴哉 トーベヤンソン 夏目漱石 茨木のり子 島崎藤村 武田百合子

好きな本はどれもすり切れていきます。

はじめての曲、バッハのメヌエット ト短調。 ピアノ初心者です。

今朝。

ぐっすりねむる家族を起こさないようにそっと起きだし、

料理教室用の小冊子をつくりはじめました。 ていねいに。

冬ごもりも、そろそろおしまい。

カテゴリ:お店について
2015年12月28日 21:30

kitchen spoon  の小窓から見える、ひろい畑。

持ち主の方に快諾していただき、お借りできることになりました。

にこにこ。

ばんざーい ばんざーい。

ぜひとも小麦をそだてたい。 豆もいいなあ。 雑穀と。 ハーブもいい。

いのいちばんに黒妙うずの次郎さんに相談しました。

今は草ぼうぼうです。

荒野って、きれい。

カテゴリ:お店について
2015年12月24日 21:45

雪の結晶。 ひいらぎのリース。 流れ星。

モビールのように店の天井からつるしていました。

ふわり、ふわりと空中を動く、甘いお菓子。

生地は日持ちするよう、かためです。山のはちみつとバニラをふんだんにきかせました。

どっさり焼いてたくさんつるしていましたが。

今はひとつも残っていません。

小学校におすそ分けしたり、差し上げたり、子どもにねだられたり。

最後の1個は、夕方やって来た娘とおともだちに、はいどうぞ。

にんまり2匹の子りすちゃん。

カテゴリ:お店について
2015年12月23日 17:33

呉の友人から、どかーんと。

ふたを開けたら竜宮城。

むき身と殻つきが、ぎっしりぎっしり詰まっていました。 

ちょっとね。 ぽーっとしましたね。 ふわーっとなりましたよ。

一瞬、海まで行ってたのかもしれません。

は、と我にかえりいちもくさんに厨房へ。

その日は山の友人たちとの夕食会でした。

下ごしらえがまたうれしい。 なつかしい海の香りです。

友人に借りたテントをご近所さんに手を借りてにぎやかに組み立て

kitchen spoonのテラスに、一日かぎりの牡蠣小屋がたちました。

生牡蠣にレモン。 焼牡蠣に巽しょうゆ。 牡蠣フライにタルタルソース。

うれしい気持ちのままいっきにこしらえ、出来たてをつぎつぎにいただきました。

ひとくち食べて、ぐっときて。 

もうひとくち食べて、へなへなへな。

カテゴリ:お店について
2015年12月17日 17:00

こんな日は、なにもかもがいつもとちがっています。

したくのすんだ店でのんびり本を読んでいました。

あーっさむいー。外回りの途中。3人ね。コースはいらないよ。  

はい。 サラダにスープ、パスタをどうぞ。

来たばっかりだけど、雪がひどくなる前に帰ります。持ち帰りを。

はい。 スープを差し上げてから、出来たてのホワトソースと次郎さんの野菜をつつみます。

雪のなかで山仕事してました。 男二人。よります。

はい。 濃いめのカフェラテをあつあつで。

こんな日は薪ストーブが主役。

カテゴリ:お店について
2015年12月12日 14:19

ふだんは農業をしている夫が冬のあいだつとめに出るので、お弁当がいるんです。

あら。  ふはあ。  

毎日。  はい。

彼女は、はたらく2児の母。

忙しすぎて生きた心地がしなかった、なんていっていたこともありましたっけ。

がんばり屋さんのめずらしい弱音。

おそうざいを作らせてもらうことにしました。

魚のおかず1品と日持ちのする野菜のおかず3品をどっさり、2週に1回お届け。

山には冬籠りという習慣があります。

それぞれの冬が平和だといいです。

大野家のためのおそうざい 来週分

ぶりの照り焼き きんぴらごぼう 切り干し大根炒り煮 黒豆とごまめの佃煮

カテゴリ:お店について
2015年12月 2日 18:00

趣味の店でしょう。 と、初めてのお客さま。

外は枯野。

雪のあとの山は水墨画のしずけさです。 

薪ストーブで焼いたクッキーのいいかおり。

はい とも いいえ とも お答えしないまま

じーっと見つめ合って、にこにこ。

生き生きと、沈黙。

なあんだっていいんです。

あなたがここにいるあいだ、くつろげたなら。

カテゴリ:お店について
2015年11月16日 10:47

大学で同期だった、という男性ふたりがご来店。

ひとりは山の友人、革職人の琢朗さんです。

あけはなした窓の向こうは、白い霧とつめたい秋の雨。

ミルを手渡し、じゅんばんにコーヒー豆を挽いてもらいます。

昔話  笑い話  いまのこと これからのこと

わたしは、湯がわくまでのあいだにドーナツをつくります。

のどかなまあるいかたちの揚げたてドーナツに、きび砂糖をたっぷり。

熱いコーヒーをいれ、地とうきびのクッキーをそえます。

日がくれたら

薪ストーブのそばで、つめたい白ワイン。

カテゴリ:お店について
2015年11月16日 10:25

玉突きのような展開ではじまりました。

教えてようとおしゃるので、 

はいわかりましたと。

いっかいこっきりのつもりでいたのですが

みなさんのお気持ちで、どこまでもどこまでも続きそうです。

心底びっくり。

じんわりうれしい。

こうなったからには。

みなさんひとりのこらず、とびきりの料理上手にしてさしあげますとも。

カテゴリ:お店について
2015年10月21日 08:18

ほんとうは、すこし調子が悪いのです。

そんなふうにおっしゃる方が、ときどきいらっしゃいます。

食べられない。

こうして座っているのも、じつはつらい。

食べることと、生きること。

ぽろりぽろりと、こぼれてはまたあふれる

とうめいな涙。

直瀬は今、あかるい秋のはじまりです。

ここは、食堂という名前のちいさな木陰。

カテゴリ:お店について
2015年10月14日 18:06

ふらりとやってきた、建築家の山下さん。

彼はこの店を作ってくれた人です。

お気に入りのテラス席でくつろぐ横顔に、秋の日差しがやわらかく。

そのとき、ちょっとふしぎな感じがしました。

この店は彼になついている。

ほんとうの店主がようやく来た、とでも言いたそうに。

テーブルの近くまでとんでくる、おおきなバッタ。

食事中のフオークにとまる、よたよたトンボ。

顔のまわりをとびまわる、元気いっぱいのミツバチ。

うん。

まあ、あたりまえですね。

カテゴリ:お店について
2015年10月 2日 17:47

朝の仕込みの時間が好きです。

ひとりきりです。

野菜を見て、見たからだの動くように料理します。

味見をしてふっと笑えるような仕込がいいです。

はんたいに

今日のスープはだめだと思ったら、きっぱりあきらめもう一度最初から。

それでもだめな日は、店は開けません。

カテゴリ:お店について
2015年10月 1日 16:40

店の前にぶうんと軽トラがやってきて、おーいと声がかかります。

はーいとこたえて出ると、直瀬のひと。

山、いってきたんよ。  

両手いっぱいの苔付きしめじと、おおきなおおきな香茸。

いいの。  かまんかまん。

うれしい気持ちでふたりにこにこ立ち話をしていると。

そのひとがふと真剣な顔になって、きのこをがさがさまぜっかえしはじめました。

あれ。  ん。

おっかしいなあー、たしかに入れたと思ったのに。

そっちに松茸はいってる。  ない? ええー。 ない?

松茸、くれようとしてたんだ。 

ええのがあったんよ。 ちょっと、行ってとってこうわい。 待ちよってな。 

え。 まってまってまって。もうこんなたくさん。じゅうぶん。

軽トラ、ぶーん。  

いってしまった。 

太古の森ってこんなふうかなと思うような香り。

カテゴリ:お店について
2015年9月26日 16:05

kitchen spoon は、たてものです。

直瀬という集落を1枚の布に見立てるなら、

この店はささやかなブローチのようなもの。

たてもののなかで

来たひとは、こう過ごしたいと思う。

迎えるわたしも、ぜひそうしてほしいと思う。

だから毎日、せっせとみがきます。

床も皿もなべもさじも。

いつもすべてがうまくいくとはかぎらない。

そういうひともいます。 そうでしょうか。

わたしはそうは思いません。

カテゴリ:お店について
2015年9月22日 17:58

ご予約のさい。

デザートにバースデーケーキをリクエストされると、

山のくだものをありったけそろえ、

あれもこれもばっちり用意しておくのですが。

キッチンからお客さまにひょいと声をかけ、

いっしょに作りませんか、とお誘いすることもあります。

声をかけてから、いちから手作りです。

夫が妻のためにエプロンをつけ、あまいクリームを泡立てる。

父が娘のために、生まれてはじめてたまご色のスポンジケーキを焼く。

子どもたちが両親のために、手作りケーキにろうそくを立てコーヒーを入れる。

祝ってもらうひとは、ゆったり頬杖の中。

なかなかいいと思うんです。

カテゴリ:お店について
2015年9月18日 18:35

里山のあちこちで、すすきがゆれて光ります。

栗ひろい  野菊  むかご  彼岸花 

見上げても 忘れても 目を閉じてもなお、青い空。 

どうしてここで店をしようと思ったんですかと

よく聞かれます。

玉突きみたいな展開で、気が付いたらここにいました。

おひとりできりもりするのは大変でしょうと

よく言われます。

わたしは、たのしいです。 

お皿を出したりさげたりするのも、床のふき掃除も

銀のスプーンをみがくのも。

 

カテゴリ:お店について
2015年9月 1日 14:12

ディナーは1日1組、貸切です。

山のおじさんたちが、ここでビアガーデンをやりたいようと

酒屋から生ビールの樽とサーバーを抱えてどーっとやってくる日。

思いつくかぎりのおいしいおつまみを、いちから手作りしてずらりと並べます。

もういいんでしょと言われれば、 いっしょに生ビールで乾杯。

ふたりっきりで星を見ながらゆっくりお食事をしたいのですと

ドレスアップした紳士淑女がしずしずとお越しになる夜。

白いシャツに着替え、テーブルクロスをひき花を飾り、ひかえめなピアノ曲をながします。

簡素な店でも三ツ星の心意気。

子どもの誕生日祝いをしたいから、パスタとピッツアを作ってください。

ひとりでいきます。雪の日に。

頑張った社員にとびきりおいしいものをたらふく食べさせてやりたい。

赤ワインがのみたい。 こーんなグラスで。

大人の女子会がしたいんです。 バイキングがいいかな。

好きなひとができました。 つれていきます。

はい。

どうぞ思いのままに。

カテゴリ:お店について
2015年8月14日 18:07

山で暮らすご家族三人がご来店。

ご予約はお父さんからでした。

娘の8歳の誕生日を祝いたいのです。 何とか休みが取れました。

娘にはまだないしょです。  好物はこんなふうです。 

量は大丈夫でしょうか。  記念になるといいなと思います  と。

今朝。 

わたしは自分に言いました。

今日は、日本一おいしいお子さまランチを作る。

おおきなおおきなエビフライ  こうばしいフライドチキン   ジューシー・ハンバーグ

はた付きチキンライス   好きなものだけならべたサラダに自家製ドレッシング 

バースデーケーキは、いちから作り。

ご家族への気持ちがひかえめな言葉からあふれていた

お父さんのご予約に、拍手ぱちぱち。

カテゴリ:お店について
2015年8月13日 17:57

休日。友人たちがあつまり、夕食をいっしょに食べました。

1家族 ・ 1カレ―持ち寄りです。

いいかおりのする8つのお鍋が、ずらりと並びました。

ココナッツカレー ・ トマトカレー ・ 具沢山な夏野菜カレー3種類

レストラン風バターチキンカレー ・ スパイシーカレー ・ 子どもカレー 

シンプルだったり個性的だったり、さまざまなライスが4種類。

あつあつチャパティー2種類と地粉のナンもあります。

いったいぜんたい、誰がこんなことしようって思いついたの。

あなた。 いいえ。 え、ちがうの。  じゃ、だれ。  さあ。

あー。いかん。目移りしてたいへんだ。  ほんと。

3杯目?  ん。 ぜんぶ食べなきゃ気がすまない。

呉の整体師、木村さんご夫妻もいっしょでした。

カテゴリ:お店について
2015年8月11日 20:24

ハワイの友人がくれた黒い麻のロングスカートに

ながく使ううち生地がうすくなった紺のストールをはおり、

ゆったりと髪をしばって店へ。

窓をあけはなち、深呼吸。

広々とした緑の稲原を、すずしい風が渡ります。

かんたんにしたくをすませ、事務仕事。

だれか来てもいいし、だれも来なくてもいいというきもちでいると。

今日は、いろんなひとが訪ねてきてくれました。

なつかしいひとがやってきて、見送ると友人がやってきて

帰るころに知人がきて、席を立つと外で車のとまる音がする。

にぎやかなのもいいけれど。

目の前のひとがこころゆくまで語るのをだまって聞いたり

しずかに語り合ったりするのがわたしは好きです。

カテゴリ:お店について
2015年8月 3日 20:24

基本的にお受けしていないのが、取材のご依頼です。

なぜかというと、その必要がないように思うからです。

ぴんとこないのです。

それでも、お受けするとき。 それには、わけがあります。

あまりにもまっすぐなあなたの情熱に根負けして、よかった。 

あきゅらいず美養品  純さん

もうこれ以上、このひとの頼みをわたしは断りたくないと思いました。 

愛媛新聞社  雲出さん

あなたがすねるから、じゃあ何かよろこんでもらえることをしようとしました。 

バツフォ計画工房  山下さん

たまにはいい。

えいやあとがんばるのも。

カテゴリ:お店について
2015年7月14日 21:41

お野菜を届けてくれる、次郎さん。

彼のつくる豆は絶品です。

シンプルなスープにすると、ふっくらゆたかないい味です。

初めてご来店されたお客さまが、そのスープを召し上がってこうおっしゃいました。

わたし。   はい。

泣きそうになりました。   え。

食べもので泣きそうになったのは、初めてです。

そうでしたか。

わたしは心のなかで思いました。

次郎さん。 あなたはすごいね。

カテゴリ:お店について
2015年7月14日 21:05

せみの声も聞こえ始めた、七月。

小学校の子どもたちは、放課後水泳の練習をしています。

先生もはりきって指導をされているごようす。

おなか、すくんじゃないかしら。

おとなも、子どもも。

うんうん。 

ふわふわあつあつのドーナッツをつくることにしました。

20個つくるつもりでいましたが、いろいろまちがえて50個以上できました。

ご近所さんにもおわけできて、にこにこ。

カテゴリ:お店について
2015年7月 2日 17:16

すずしい風ぐらい。

たまにはゆっくりお話も。

蝶の羽根のかるさはいいなあ。

紫陽花のふっくらとしたやわらかさ。

ねむる猫にもなります。

ここはと思えば、くっきりと存在もしますが

それはお客さまがきめること。

今日わたしは、いいおもてなしができただろか。

カテゴリ:お店について
2015年6月 9日 21:43

はじめてお迎えしたお客さまでした。

その方は、まっすぐにわたしを見すえて、こうおっしゃいました。

「どうしてここで店をしようと思ったんですか。」

「はい。  こんな店があってもいいんじゃないかと、思いました。」

そうお返事をしてすぐに、ああ、いけなかったと思いました。

その方は、わたしの言うことはみなまで聞かず

ぐうっと首をひねり顏をしかめ、からだごとこちらに背をむけて

それっきりしばらく黙ってしまったからです。

わたしはなぜここにいるんでしょうか。

ほんとうは、よくわかりません。

きっと、ここでやることがあるからだと思います。

直瀬はいいところです。

カテゴリ:お店について
2015年5月29日 16:54

この男性は。  うん。 久万のひと。

そうお見受けしてまもなく。お話をしてみたらちがっていました。

ご出身は直瀬。 街で暮らして50年とのこと。

そうでしたか。 わたし、山のおじさんが来てくれたんだなって思ってました。

そんなかなー。 まあよう垢抜けん。 直瀬の水が抜けんのよ。

ぱちんと目があいます。 ふしぎなうれしさ。

お客さまがご来店され、お席につくまでのわずかな時間。

どうぞお入りください とか お待ちしておりました など

おひとりおひとりに、これくらいがちょうどいいかなと思う声でご挨拶をします。

それからすぐにお茶を用意したり料理にとりかかったりはしません。

お客さまがお席についてしばらくは、お客さまのようすに呼吸を合わせます。

察する という時間。

これが大切。

ですが、今日はちょっとちがっていましたね。

カテゴリ:お店について
2015年5月23日 07:01

となり村の畑野川には、キャンプにぴったりの原っぱがあります。

土曜日の夕方。

ひとりでじーっと空をみあげます。

うん。 今夜はいい星空になる。  そう思ったら、よーいどん。

自家製パンとあまりものの野菜、チーズとワインをすこし。

フライパンとなべやかん。 コーヒー野点セット。 本とろうそく。

思いつくままてあたりしだいにざざざざ-っと荷造りをして

むすめと手をつなぎ、さっと出かけます。

緑のくさはらにオレンジ色の三角テント。  ちいさいテーブルにいすふたつ。

かっこうの声。

手の込んだ料理なんて、いたしません。 

カテゴリ:お店について
2015年5月15日 16:23

あるひのランチタイム。  

キッチンには、わたしともうひとり、すらりとした女性がいました。

彼女の名前は、千代さん。

ご主人と松山でフウミカデンという玄米菜食のお店をしています。

とてもおいしいごはんのお店です。

彼らは直瀬は近いといって、緑の山奥まで訪ねて来てくれます。

一緒に料理をしてみたいので、お手伝いに行ってもいいですか。

はいどうぞ。 

早起き  家族と朝ごはん  窓も床もきれいに拭きます  打ち水

散歩ついでによもぎ摘み パンをこねてパスタをこねて スープを味見  

次郎さんがお野菜かかえてやってきた  それでは一緒にコーヒーを

いろんな話をして  さてと  そろそろ客さまとのおやくそくの時間  

あっという間でしたね。

カテゴリ:お店について
2015年5月11日 11:21

朝風呂に入ります。

ぬるめのお湯でからだをやすめ、熱いお湯とひとにぎりの塩をたします。

部屋の畳をしゅろほうきで掃きます。

ごく簡素な部屋ですから、そうじはかんたんに終わります。

クローゼットや本棚を整理して、手帳を書きなおします。

余分は手放すよういをし、不足は気がついたことでよしとします。

庭の緑や空の青をあきるまで眺め、好きな本をすきなだけ読みます。

今は物理がたのしくてたまりません。

最近の休日は、こんなふうにどこにもでかけていません。

今のわたしはきっと、今ここでじゅうぶんなのでしょう。

カテゴリ:お店について
2015年4月28日 22:13

つかれたな と思う日。

身近なひなたによれよれと寝ころび、呼吸がらくになる姿勢をさがします。

これだと思ったらその姿勢のまま、ひたすらひなたぼっこに専念します。

電話がなってもひとが訪ねて来ても、しらんぷり。

おゆるしを。

やがて、からだのあちこちがじいーんと熱くなってきます。

腰。 そして足。 首。

からだじゅうまんべんなく日差しはふりそそいでいる。

むくりと起き上がるころには、バラ色ほっぺ。

カテゴリ:お店について
2015年4月23日 06:36

春のたのしみは、なんといっても山菜つみです。

友人たちや都会からのお客さまと野山へ行き、

食べたいものを食べたいだけつみます。

すみれ  たんぽぽ  あけびの花  からすのえんどう

ふきはすぐにゆがけばとうめいな水の味がします。

のびるのいい香り。 よもぎはかりっと天ぷらに。

揚げたそばからなくなっていきます。 ゆがきたてをすすめます。

すべての山菜をきざみこんだ、塩味のごはんも人気。

お腹いっぱいになったら、テラスでひるねも人気です。

カテゴリ:お店について
2015年4月12日 18:30

便箋は友人がくれた真白な紙。

封筒は米袋をほどいて作った手製。

雨がふる日は、万年筆はやめておきます。

書き心地のかるい青のボールペンで。

一通はバツフオ計画工房の山下さんに。

店での出来事をたんたんと。

もう一通はBRIDGEのかなこさんに。

お花見会でのおもてなしのお礼など。

先週ちょうだいしたお便りは2通。

そちらのお返事は、これからゆっくり。

手紙はいいなあ。

カテゴリ:お店について
2015年4月 3日 16:24

席はすこし。

営業日もわずか。

店主ひとり。

緑の山奥にぽつんと一軒。

そんな kitchen spoon は

貸切をご所望のお客さまが、思いがけずたくさん。

あなたのわがままは、わたしのわがまま。

いいと思うんです。

こんな店があっても。

カテゴリ:お店について
2015年3月26日 20:20

ふきのとうをゆがいて、なばなをゆがいて、煮豆をすくって。

自然薯と原木しいたけををソテー。 ソースはこれ。

自家製パンをざくざく切ります。 コーヒー豆を2人分こっぱみじんに。

はじめてのかた。 なじみのかた。 どなたも快適かな。

スコーン、焼けた。 スープを味見。 

お椀を3つあたためて。 木のお皿と、おさじも3つ。

せっせと料理にはげんでいると。

勝手口から友人が訪ねてきました。 しばらくして、またひとり。

おっ とか あれぇ とか声がして

キッチンのすみっこで、のどかな立ち話がはじまります。

こんなふうにお勝手がにぎやかになると、春。

あけはなしたガラス戸のむこうは、まぶしいひざし。

カテゴリ:お店について
2015年3月 6日 07:59

お食事のあと。


くったりとくつろいだ様子で、暖炉の火を見つめるひと。

キーを打つ手をとめ、職場より仕事がはかどります、と笑うひと。

悪口を言うよりほかに、自分を救う方法を知らないひと。

頬杖の中で平和にやすむ、うつくしいひと。

はらはらはらはら涙をこぼすひと。


今日こそおいしいコーヒーをいれたいと思っている、
カウンターの中のわたし。


カテゴリ:お店について
2015年2月20日 06:25

雪が降る日にお迎えしたのは、たのしい大人たち。

おいしいパンをぜひとも焼きたいと、ほおをばら色にそめる方。

山に移住して、来年の4月から英語塾をはじめますとほほえむ女性。

テラスでひとり、気持ちよさそうに手作りのオカリナを吹くひと。

はい、いちご。と訪ねてきて、手渡したらさーっとかえってしまう方。

しずかかな、と訪ねてきてみたら知り合いばかり。 コーヒーね。と座る男性。

みせのようすを、ひとつひとつ、ていねいに味わう女性。

ひょいとやってきていちごをぺろりと食べ、ぷいっと行ってしまうこりすのような娘。

どなたさまも いいおかお。

カテゴリ:お店について
2014年11月 4日 12:31


ハワイ島 コナのキャプテ・クックという田舎町に行ってきました。

若い友人ふたりと小学生のむすめと一緒に、現地で暮らす友人をたずねました。


海にほど近い町の空気は、あたたかくしめっていて、花のみつのかおりに満ちていました。

朝の日差しはとうめいなもも色にひかり、雨は空いっぱいに虹をつくりました。

友人宅は、濃いみどりの庭にかこまれた、ちいさな楽園でした。

おひさま色のパパイヤが毎朝みのり、ハイビスカスが風にゆれ

にわとりの声や牛の声が、花の垣根の向こうからいつも聞こえていました。


やさしい人にしか 会いませんでした。

うつくしいものにしか ふれませんでした。

日本の神さまが、ハワイの神さまによろしくと言ってくれていたとしか思えないくらいです。

深いくつろぎをくれた旅に、心から感謝。


ハワイ島 最後の夕食

・トマトと玉ねぎ、黒オリーブの手作り海塩マリネ

・地のアボカドとセロリ、ブロッコリーのハーブ・サラダ

・コーンときゅうりのサラダ

・ハワイ島の山羊チーズとサーモンの前菜 

・じゃがいもと豆乳のチーズ・マッシュポテト

・ジョンさんの叔母さんが育てた牛肉のステーキ

・フォンダンショコラ アイスクリームとベリー

カテゴリ:お店について
2014年9月12日 09:54

本日2周年を迎えました。

いつも通りのしずかな朝です。


kitchen spoon は

みなさまおひとりおひとりの

平和な木陰のようなものでありたいと願っています。

昨日も 今日も 明日も。

ただ一心につとめます。


深い感謝をこめて

店主 姫野晶子



カテゴリ:お店について
2014年4月16日 16:39

 おなじ料理でも、食べていただく方おひとりおひとりに合うように、尽くします。

うまくできるときもあれば、とんちんかんなことをしてしまうときもあります。

 

お年を召された方とそのご家族。

離乳食を持参された若いご両親。

ほんとうはちょっと調子が悪いひと。

女性おひとりの休日。

大勢のおじさん。

車の中でけんかしたあと。

カップルになるちょっと前。

 

 

「客を見ていない」

かつて、そんなふうに叱られたことがあります。

 

今日のわたしはお客さまを見ていただろうか。

どうかな。

 

 

カテゴリ:お店について
2014年3月24日 17:24

かつて、菜食ですごした時期がありました。

半年間。

まったく突然に、野菜と穀物しか食べられなくなりました。 

朝ごはんの玉子焼きや塩鮭。 ピクニックのハムサンドやうすあまいカフェオレ。

新鮮なおさしみ。 香ばしい焼き鳥。 休日のグラタン。

なにもかも、いっぺんにぱったりと手が伸びなくなりました。

わたしの変化はわたしが受け入れるとして。

キッチンで肉を切ろうとするたびにいちいち手が止まり

肉料理の味見はひとかけらもできなくなったのは、心底おどろきました。

固く目を閉じ、ええいとスプーンを口に運ぼうとすると

ふっとからだがふらつきます。

何度やっても同じでした。

 

  食べられなくなった。

 

とてもほんとうとは思えない。

わたしは呆然としてスプーンを置きました。

まるで、はなれていく浮き輪をぽかんと見送っているような気分でした。

 

ありったけの野菜をこっぱみじんにして炒めに炒め、ベジタブル・カレーに。

炒り大豆、レモン、ローストした玉ねぎとマスタードでドレッシングを。

久万高原町産の地粉と自然塩、太白ごま油のパン。

おからにアーリオ・オーリオソースときざんだピクルスを合わせ、

強めの塩とハーブでチーズの味をねらって。

有機豆乳ではじめてつくる、ホワイトソース。

きび砂糖のジェラート。 ラベンダー・ゼリー。 穀物クッキー。

 

半年後。

はじまったときと同じように、理由はまったく分からないまま

また少しずついろんなものを食べられるようになりました。

 

 

カテゴリ:お店について
2014年2月20日 08:20

地元の若い農家さんたちから、ジビエ料理の会のリクエストをいただきました。

ジビエとは、フランス語で狩猟鳥獣のこと。

今回のご希望は marucassin (マルカッサン) イノシシです。

 

フランスの田舎のレストランで住み込みで働いていた10代のころ、

シェフが森でしとめてきた野生動物をさばくのがわたしのしごとでした。

野に生きる命を奪うのですから、ひとかけらの肉も大切に使い切って

無我夢中でやってみようと思います。

 

里山らしい野趣を強く感じられるごちそうを。

 

カテゴリ:お店について
2014年1月25日 14:38

キッチンの中のちいさな書斎で調べものをしていると、

おもてから自転車のブレーキの音が聞こえました。

 

「こんにちは。お水をください。」   「しおん君。」 

ふれればきっと、氷みたいに冷たいはずのほっぺたが真っ赤です。

カウンター越しに手渡したガラスコップの水は、ほとんど減りません。

のどが渇いたから来たというよりは、ちょっと顔を見に来てくれたのでしょう。

彼は、たずねたことには短くきっぱりとこたえてくれますが、

無用なおしゃべりはあまり好まない少年です。

 

壁の絵に気がつきました。

 

「この絵、だれがかいたの。」   「濱田 亨さん。」

じっとみます。 からだじゅうを目にするようにして。

おおきな絵のつよい色彩に、いどむようにして。

 

いつかこの少年も、ひとりきりで帆を立てて大海原に出るんだな。

ほんの一瞬の横顔にふとそんなことを思った、1月。

 

 

 

カテゴリ:お店について
2013年9月18日 13:42

ある日のディナー。

 

今夜は常連のご夫婦の記念日です。

きれいさっぱり掃除をしたキッチンに、夕日がさします。

ごちそうのいい香り。いったんすべての火を消します。

野の花を摘み、クロスを選び、テーブルの明かり用のキャンドルをたてます。

庭木に水をやり、玄関に水を打ちます。窓を拭き終わると日が暮れはじめました。

キッチンに戻ってオーブンをつけます。

あたたかいほうじ茶と自然な味わいのワインを用意します。

 

さてと。

腕まくりをほどきながら、ふと、ご予約をいただいた時のお電話を思い出しました。

 

なんだろう この感じ。 

いつもとなにかが違います。

あるかなきかの、ほんのわずかな違和感。

今日はお客さまにとって、うれしい日なのか悲しい日なのか。 その両方なのか。

 

ろうそくに明かりをともしながら、ふーっと息をつき、考えるのをやめます。

わからない。そんなことは考えたってわからない。

 

こんなときは。 

今ここにあるもので今の自分に作ることができる、一番おいしいケーキを作ろうと思いました。

ゆっくりローストした直瀬のかぼちゃに、はちみつ、刻んだ干しいも、有機豆乳、シナモンを加えます。なめらかになるまでよく混ぜます。 しずかに。 ていねいに。

久万高原町の全粒粉、炒りたてのごま、上質なごま油、自然塩を合わせタルト生地を作ります。

タルト生地とかぼちゃのフイリングを重ね、低温のオーブンで焼き上げます。

しずかに冷まします。

 

お約束の時間にお越しになったのは、奥様おひとりでした。

わたしたちは、スープとパンとケーキの夕食を食べました。

こんな夜もあっていい。

 

 

カテゴリ:お店について
2013年9月12日 17:02

本日、一周年を迎えました。

穏やかないい一日でした。

今すぐぱっと駆け出して、こころからのありがとうを伝えに行きたいひとが、

あの町にも、 この山にも、 記憶の中にも。

みなさま、ほんとうにありがとうございます。

 

わたしの仕事は、ひとをしあわせにしているだろうか。

いやいや。まだまだ。

わたしの行動のきっかけは、いつも愛だろうか。

いやいや。まだまだ。

 

まだまだって、なんだかいいな 。 楽しいな。

 

カテゴリ:お店について
2013年7月19日 15:44

料理があまったりパンが残ったりする日があります。

そういうときは、一人前ずつざっと包んでかごに詰め、いったん冷蔵庫へ。 

お風呂にはいって目を閉じ、あたたかい水の中でしずかに休みます。

 

日暮れどき。 いい風です。 山の香りがします。

からだ全体で深呼吸。

ごちそう入りのかごを持って、夕焼けの直瀬を犬と散歩です。 

 

トマトをくれたおばあちゃんに会えるかも。

生まれたての赤ちゃんがいるのは、あのお家。

坂の上に暮らす、病気のおじいちゃん。

軽トラックのおじさんが、にかっと笑って手を振ってくれます。

小学校。  先生たちまだお仕事なんだ。

遊びにおいでと言ってくれたあのひとの畑は、たしか、あの松の木のあたり。

 

かごはすっかりからっぽに。

 

わたしはいつも、目には見えないほんとうのがたべものを

出会うすべての人たちから、両手いっぱい受け取ります。

ほの暗い帰り道は、いつもしあわせ気分。

 

散歩はいいなあ。

 

 

 

カテゴリ:お店について
2013年6月15日 15:51

 

伊勢神宮を訪れた友人が、おふだを買ってきてくれました。

まっさらな和紙につつまれた、きれいなきれいなおふだです。

豊受大神宮。

受(うけ)とは食べもののこと。

食物と穀物をつかさどる神さまなのだそうです。

 

大きな栗の木に花が咲きました。

雨の中、庭の豆を届けに来てくれた人がいます。

今夜は友人たちと、ここで夕食を共にします。

ゆすらの赤い実と、自然な味わいのワインをよく冷やしておきます。

この地の恵みを分かちあえることに、深く感謝。

 

おふだに手を添えます。 目を閉じ、深呼吸。

 

食べものの神さま。

いつも豊かなおくりものをありがとうございます。

わたしにとって、料理は祈りです。

今を深く生きることを重ね

 しずかな心とよくはたらく手を持つ人になれますように。

 

 

カテゴリ:お店について
2013年5月24日 10:35

 

毎日いろんなことがあります。いろんな人がやってきます。

お食事が終わっておなかがいっぱいになったら、

お話をして、一緒に笑ったりすこし黙ったりして、やがてみなさんお帰りになります。

 

窓の外は深く明るい緑の里山。

あたたかい風がふいています。

 

昨日お客さまとお話をしていると、一羽のちょうちょがすっと入ってきました。

ひらりひらりと漂ってわたしの頬やあたまにとまって休み、

来た時と同じようにひらりひらりと帰っていきました。

店の暖炉の中で巣をつくろうとしているスズメがいます。

すすで汚れて真っ黒です。わたしと目が合うと、空に向かってパッと飛んでいきます。

下校途中の子どたちが立ち寄る日もあります。

キッチンであめを食べて水を飲み、ランドセルを置いてかに釣りにでかけます。

 

みなさん、今日もどうぞ平和な一日をお過ごしください。

カテゴリ:お店について
2013年4月12日 08:18

日暮れ前。

雨の日も晴れの日も愛犬と里山を歩きます。

 

からっぽのマルシェかごは、さまざまな草花でみるみるいっぱいに。

つくしとふきは湯がいて、せりはよく洗ってサラダにします。

よもぎの新芽は干して薬草茶に。 すぎなは焼酎漬け。

すみれと菜の花は花束に。

娘の好物の野いちごの花。 実りを待ちます。

 

水が入ったばかりの田んぼの水面すれすれを、たくさんのつばめが飛んでいます。

なめらかに。 自由に。 たのしそうに。

 

この地の野草を季節ごとにおいしく食べて、

おだやかに体を整えながら暮らしていきたいと思います。

 

 

カテゴリ:お店について
2013年4月 8日 08:07

松山からの帰り道。 娘は助手席ですやすやと眠っています。

慣れ親しんだ山道の運転は、わたしにとって呼吸のようなものです。

 

今日はお客さまの気持ちになって車を運転しよう。

 

時々そうしています。

ここは砥部。

今から初めてkitchen spoon に行く。  目を閉じて深呼吸します。

ゆっくりと目を開けると、見慣れているはずの山がふいに迫るように大きくうつり、

息をのみました。冷たい雨が窓を強く打ちます。

 

三坂峠って、こんなふうだったかな。  きっとこのあたりまでは安心した気持ち。

ほの暗い杉林の上り坂。  白装束のお遍路さんがひとり。

すれ違うとき、鈴の音がかすかに聞こえたような。 

急なカーブは慎重に。 トンネルを過ぎて坂を下ったその先が、畑野川です。

集落を過ぎれば、あとは深い森の道。

うつくしい栗の木の丘にも、うつくしいしだれ桜の並木にも、人の気配はありません。

山はどこまで行っても静かです。

長い長い下り坂を降りきって、ようやくひとつめの案内看板。 ふたつめ。 さん、 し。

つきました。 おもわずほうっと息がもれます。

 

わたしは、もっともっと気持ちのこもったお出迎えをしたいと思いました。

 

 

 

カテゴリ:お店について
2013年3月 2日 19:39

先日直瀬幼稚園のみなさんがご来店されました。

かわいい声が里山の冬空にこだまします。

ぱちんと目が合うたび、にこっとほほえんでくれるのだからもうたまりません。

7人の小さな紳士淑女と3人の心やさしい先生をお迎えしました。

 

濃い空色のテーブルクロスに、アンティーク・シルバーのフォークとスプーンをならべます。

やわらかく巻いた真っ白なおしぼり。 砥部焼のちいさなコップに地元のお茶をそそぎます。

うつくしい皿をよくえらび、ほどよくあたためておきます。

バラ色ほっぺの子どもたちは、ちいさな手に自作の旗を持っています。

オーブンからいい香りがしてきました。 ご用意したのはお子さまランチ。

ていねいに盛り付けます。 

 

雑穀入りチキンライス

ハンバーグステーキとトマトソース

豆乳のクリームパスタ

エビフライと自家製タルタルソース

久万高原町の温野菜サラダ

いちごとクリームのデザート

 

たのしいたのしいお昼のひととき。

 

 

カテゴリ:お店について
2013年1月17日 16:16

 

先週。神戸から友人たちが遊びに来てくれました。

ジャズのビックバンド、S.F.big band のサックスメンバー4人とそのご家族、お友達です。

 

夜は薪ストーブの火をかこんで。

昼は子どもたちや地域の皆さんをお招きして。

BGMのないkitchen spoon に、パワフルな生きた音がいっぱいに満ちた2日間でした。

 

かつて一緒に演奏していた、大好きな年上の友人たち。

うれしいうれしい再会でした。

 

 

カテゴリ:お店について
2013年1月 1日 05:44

わたしのおせちは、昔ながらの日本のおせちです。

黒豆 田作り きんとき芋 

昆布巻き 紅白なます 八幡巻き

かずのこ ぶりの照り焼き 栗の渋皮煮 お煮しめ

 

今年はkitchen spoonの新しいパートナー、農家の井上さんにお野菜をすべてお願いしました。黒豆は小粒ですが味はとてもいいです。ごぼうはぱりっとみずみずしく、里芋はまぶしいような白さ。にんじんはくっきり甘く、葉野菜のうつくしさはまるで緑のブーケのようです。大切に保管されていたという地元の栗も分けてくださいました。山の恵みがうれしいです。味付けは大洲の梶田さんの巽醤油を使います。豊かで自然な味わいのお醤油です。お煮しめは8種類。素材それぞれに味を含めます。2種類のさつま芋ときび砂糖のきんとき。今年の昆布巻きは塩鮭を使ったからでしょうか。うまみが深くておいしいです。尊敬する先輩シェフ、神戸の栗岡さんから頂いたお手製のからすみも、少しずつ大切に切り分けます。

 

お預かりしていたお重   手持ちの竹かご   木のお皿

琺瑯のふた付き容器   大きなタッパー   小さな保存袋

それぞれきちんと盛り付け、詰め合わせ、洗い立ての布できゅっと包んで完成です。 

キッチンをいつも通り掃除して、戸締り。     ぱたん  かちゃり。 店の鍵を閉めます。

31日の午後。うす曇り。遠くに雪の気配。

お世話になった皆様のもとへ、出来上がったおせちをひとつひとつお届けに伺います。

すべて配り終え、山に戻るともうすっかり日が暮れていました。

満ち足りた気持ちでした。

  

みなさま、あけましておめでとうございます。

昨年は大変お世話になりました。

みなさまのあたらしい一年が、すこやかでありますように。

またお会いできる日を心待ちにしています。

 

今年もていねいに。

kitchen spoon    姫野晶子

 

 

 

カテゴリ:お店について
2012年12月10日 21:59

モミの木が届きました。親しい友人からのクリスマスプレゼントです。うれしくてたまりません。

わたしの背より少しおおきいくらいの若木です。濃い緑がつやつやとうつくしい。落ち着いたオリーブ色の鉢に植えかえました。花屋さんがはりきってきれいに飾り付けをしてくれていましたが、いったんすべて外します。つめたく透きとおった山の水を、葉にも幹にも根元にも、じゃぶじゃぶと注ぎます。吐く息の白さ。 冬空と雪山はしんしんと冷え、透明な静けさに満ちています。

 

きれいな木。   ちょっとみとれました。

 

冬のkitchen spoon らしい飾り付けがしたいと思い、キッチンに戻りました。ストーブに薪をくべて手を温めたら、まずはお湯をわかします。カフェオレの準備をして腕まくり。 おいしいドーナツをつくることにしました。久万高原町産の小麦の香ばしさに、素直な甘さとスパイスをきかせて、ヨーグルトとマッシュポテトをスプーンでひとすくい。できあっがった生地をゆっくりこんがり揚げます。赤いひもでツリーの枝に結んだらできあがり。

小鳥たちへのクリスマスプレゼントのつもりです。

 

あたたかな午後。 ツリーをご覧になったご夫婦がちいさく首を傾げています。

ドーナツを飾ったわけをお話しすると、おふたりはちょっと困ったようにほほえんで、席をお立ちになりました。

鳥はね。    はい。

ご主人がポケットからそっと取り出して見せてくださったのは、ヒマワリの種でした。

いつも持ってるんです。  これをいちばんよろこびます。

わたしの手のひらに、ふたつかみ、分けてくださいました。

 

おふたりの、やさしいやさしい、静かな笑顔。   ちょっとみとれました。

 

 

 

 

カテゴリ:お店について
2012年11月17日 20:41

初めてこの絵を見たときのことです。 

のびのびと明るくて力強い色。なんて自由。なんて無邪気。  この絵、好きだな。

そう思って目を細めたその瞬間。

おおきな絵全体から、あつい風がどうっと吹いたように感じました。

 

わたしは隣に立つ人を見あげました。

画家、濱田亨さん。

静かに澄んだ目がゆったりとわたしを見おろしていました。

 

あなたの人生、今から輝き始めますよ。  僕が言うんだから間違いない。

僕の背中には羽が生えています。それを一本引き抜いて一枚の絵を描きます。

 

あれから2年がすぎました。 

山が眠る冬。音を立てて燃える薪ストーブ。白いお椀にホットワインをなみなみと。

ひとり椅子に腰かけます。

絵をながめて過ごす、みちたりた時間。

 

kitchen spoon 唯一の絵。12月より冬季限定で店内にてご覧いただけます。

  

 

 

 

 

カテゴリ:お店について
2012年11月 6日 14:33

たくさんのお客様をお迎えしたランチの後。

仕込んだものはすべてからっぽに。鍋も食器もぜんぶ使いました。

 

さてと。

窓を開け放って空気を入れかえます。冷たく湿った風。いい気持ちです。ストーブに薪をくべて腕まくり。ディナーのご予約まであと二時間。まずは洗いものから。熱いお湯で鍋も皿もグラスもきれいに洗い、乾いた布できゅっと拭きあげ棚に収めます。ハーブをとりに畑へ。発酵の終わったパンを丸め、塩糀とハーブでチキンをマリネ。スープの鍋にローリエの葉をちぎり入れます。食材とワインを確かめてメニューを書きかえます。あたたかい白い湯気。薪の燃える香り。遠くに鳥の声。

 

銀食器をみがいていると、小学生の娘と近所の子供たちがやってきました。口々に何か食べたいとおねだりします。

しょうがないなあ。じゃ、今日のおやつは、ひみつのさつまいも団子。

えーっ。バニラミルクプリンがいい。

うん。あれね。あれはもうないのよ。

お行儀よくね。  はーい。  わたしはまた作業に戻ります。

 

しばらくしてふと顔を上げると、テーブルにいた子供たちがいません。なんと大人用の大きなほうきでテラスを掃除してくれています。一生懸命。黙々と。ていねいに。なんだか、見ていると胸がいっぱいになるくらい、ていねいに。女の子がぱっとかけてきてたずねます。お店の床掃除します。モップありますか。  うん。あるよ。 ありがとう。

通りがかった校長先生におおいにほめられてうれしそうです。

 

子供たちが掃除してくれた木の床の美しさは、とてもまねのできるものではありませんでした。

今日はきっといいおもてなしができる。深々とうれしく、心からそう思えたある日の出来事。

 

  

 

 

カテゴリ:お店について